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離床センサーとは?8種類の比較と選び方を累計60万台を届けたメーカーが解説

見守りシステム

※本記事は2026年9月時点の情報にもとづいています。

離床センサーとは、ベッドや床、あるいは衣服に取り付けたセンサーで利用者の動きを検知し、職員に知らせる機器です。大きく8タイプに分けられます。選ぶ基準は「利用者がどのような動きをするか」と「いつ知りたいか」の2つに集約されます。

ただ、機器を選ぶことと同じくらい大事なことがあります。鳴ったあと、どうするかです。

離床センサーは「動いた」ことは教えてくれますが、それが危険な動きなのかどうかまでは伝えてくれません。だから通知のたびに駆けつけることになり、「行ってみたら何もなかった」というケースが積み重なります。この記事では8種類の比較と選び方を一通り解説したうえで、その先の話までお伝えします。

私たちテクノスジャパンは、1997年に離床センサーを発売して以来、累計60万台以上を医療・介護の現場に届けてきました。メーカーとして現場で見てきた「選定でつまずくパターン」も含めて書いています。

離床センサーとは?

モニタリングシステム

離床センサーは、利用者がベッドから起き上がる・立ち上がる・床に足をつけるといった動作を検知し、ナースコールやスマートフォンに通知する機器です。目的は転倒・転落事故の防止と、夜間巡視の負担軽減の2つ。

仕組みは「検知 → 通知 → 対応」の3ステップ

センサーが動作を検知すると、有線または無線で信号を送り、ナースコールの親機や職員が持つ端末が鳴ります。職員はその通知を受けて居室へ向かいます。ここまでが基本の流れです。

検知の方式はセンサーの種類によって異なり、荷重の変化で判断するもの、赤外線が遮られたことで判断するもの、クリップが外れたことで判断するものなどがあります。この違いが、そのまま「どのタイミングで鳴るか」の違いになります。

なぜ必要とされるのか

介護の現場で起きる事故のうち、転倒・転落は代表的な類型です。厚生労働省老健局の「介護保険施設等における事故予防及び事故発生時の対応に関するガイドライン」(令和7年11月)でも、施設等でよく起きる事故の筆頭に転倒・転落が挙げられています。重大事故に絞った集計ではさらに比率が高く、消費者庁から厚生労働省老健局に報告された276事例(概ね30日以上の入院を伴う重大事例)のうち、転倒・転落・滑落が181件・65.6%を占めています(公益財団法人介護労働安定センター「介護サービスの利用に係る事故の防止に関する調査研究事業」報告書・平成30年3月)。

とくに夜間は職員数が限られ、1フロア30〜40床を2名で担当するような体制も珍しくありません。全室を定期的に巡視するやり方では、巡視と巡視の間に起きた動きは把握できず、職員の身体的負担も大きくなります。

「動いたら知らせてもらう」という発想に切り替えるための機器が、離床センサーです。

離床センサーの8種類【比較表】

離床センサー

まず全体像を整理します。表は、検知するタイミングが早い順に並べています。「どのくらい早く知りたいか」が選定の出発点になるためです。

種類 何を検知するか 検知の早さ 向いている利用者
①ベッドセンサー 就寝中の体動・起き上がり 最も早い 起き上がりから転倒までが速い方
②クリップセンサー 衣服からクリップが外れたこと 早い 起き上がりを確実に捉えたい方
③サイドセンサー ベッド端への移動・端座位 中間 端に座ってから立つ方
④タッチセンサー 手すり等に触れたこと 中間 手すりを支えに立つ方
⑤超音波・赤外線センサー 一定範囲を通過したこと 中間 非接触で見守りたい方
⑥コールマット(マットセンサー) 床のマットを踏んだこと 遅い 立ち上がりを確実に捉えたい方
⑦車いす・トイレ用センサー 車いすからの立ち上がり等 場面による 日中の離座リスクがある方
⑧カメラセンサー 映像による動作の検知 設定による 状況まで確認したい場合

早ければ良い、というものではありません。ここが選定の要点で、後ほど詳しく触れます。

①ベッドセンサー

マットレスの下や上に敷き、就寝中の体動や起き上がりを荷重の変化で検知します。8種類のなかで最も早い段階で知らせる方式です。利用者の身体に何も装着せず、視界にも入りにくいため、心理的な負担が小さいことも利点です。

一方で、寝返りなど日常的な体動で反応してしまう設定にすると誤報が増えます。検知の感度や遅延時間を調整できる製品を選び、利用者ごとに設定を調整することが前提となります。

②クリップセンサー

利用者の衣服にクリップを留め、起き上がるとクリップが外れて通知される仕組みです。確実性が高い反面、身体とセンサーがひもでつながった状態になるため、抵抗を感じる方や、ひもを自分で引っ張ってしまう方には使えません。導入前に本人の反応を確認しておく必要があります。

③サイドセンサー

ベッドの端に敷き、端座位(ベッドの縁に腰かけた状態)や、そこからの移動を検知します。「起き上がった時点ではまだ様子を見たい、足を下ろしたら知りたい」というケースに適した中間的な選択肢です。

④タッチセンサー

ベッド柵や手すりに設置し、利用者が触れたことを検知します。手すりを支えにして立ち上がる方には、動作の直前を捉えられる方式です。

⑤超音波・赤外線センサー

一定の範囲を利用者が通過したことを非接触で検知します。ベッドや床に何も敷かないため衛生面の懸念がなく、居室の出入口に設置して離室を捉える使い方もできます。設置角度や検知範囲の調整が精度を左右するため、設置時の設計が重要です。

⑥コールマット(マットセンサー)

ベッドサイドの床に敷き、踏まれたことを検知します。介護現場でセンサーマットと呼ばれるのは主にこのタイプです。立ち上がって足をついた段階での通知になるため確実性は高いものの、検知のタイミングは最も遅くなります。転倒までの猶予が短い方には、単体では間に合わないことがあります。

また、マットを避けて歩く方がいる点も現場でよく聞く課題です。避けられると検知できないうえ、避ける動作自体が不安定でかえって危険なこともあります。

⑦車いす・トイレ用センサー

車いすの座面に敷いて離座を検知するタイプや、トイレの滞在・立ち上がりを検知するタイプです。日中の離座による事故を防ぎたい場合に、ほかのセンサーと組み合わせて使用します。

⑧カメラセンサー

映像から動作を検知する方式です。何が起きているかを映像で確認できるため、通知の内容を判断できる点がほかの方式と大きく異なります。

なお、この方式は厳密には離床センサーというより、介護テクノロジー(介護ロボット・ICT)の領域に位置づけられる機器です。補助制度や生産性向上推進体制加算でも「見守り機器」として扱われ、単体のセンサーとは別のカテゴリで検討されることが一般的です。居室への設置はプライバシーへの配慮が前提になるため、設置の可否・同意の取り方・録画の管理については別記事「介護施設に見守りカメラは設置できる?」で詳しく解説しています。

選び方:4つの質問に答えれば決まります

心電図

選定のポイントを羅列した情報は多いのですが、実際の現場では次の4つの質問に順番に答えていくのが最短です。

質問1:いつ知りたいですか(検知のタイミング)

最初に決めるのはここです。起き上がった瞬間なのか、ベッドの端に座ったときなのか、床に足をついたときなのか。

判断の基準は「その利用者は、動き出してから転倒するまで何秒あるか」。動作が速い方や状況判断が難しい方には、早期に検知できるベッドセンサー系が適しています。ゆっくり動く方で、端座位から立つまでに時間がある方は中間の検知(サイドセンサー・タッチセンサー)。確実に立ち上がりだけを知りたい方はコールマット。

「早いほど安全」ではありません。転倒までの猶予がある方に早すぎる検知を設定すると、まだ経過を見られる段階で通知が鳴り、結果的に不要だった訪室が増えます。

質問2:その方はどう動きますか(利用者の状態)

体動が激しい方にベッドセンサーを高感度に設定すると、寝返りのたびに鳴ります。ひもやクリップを引っ張ってしまう方にクリップセンサーは使えません。マットを避けて歩く方にコールマットは機能しません。

利用者の動作の傾向に合わせて方式を変える——これが誤報を減らす最大のコツです。

質問3:どこに通知しますか(通知先と配線)

既存のナースコールに繋ぐのか、職員のスマートフォンに通知するのか、専用の受信機を置くのか。夜勤者が巡回中でも気づける通知先になっているかを確認してください。

あわせてケーブルの有無も検討事項です。有線は通信が安定しやすい一方で配線が動線上の障害物になりやすく、無線(コードレス)は設置の自由度が高い一方で電池管理が必要になります。

質問4:予算と導入形態は(費用・補助金)

購入のほかに、レンタルという選択肢もあります。また、見守り機器は自治体の補助制度の対象になる場合があります。制度の全体像は厚生労働省の介護分野における生産性向上ポータルサイトで確認できます。公募時期や補助率は地域ごとに異なるため、機器選定と並行して確認しておくと導入計画が立てやすくなります。施設所在地で利用できる制度はeライブ補助金活用ナビでご確認いただけます。

デメリットと、現場での補い方

介護・医療現場

導入前に知っておくべき課題は5つです。それぞれ対策とセットで整理します。

  1. 誤報が多い。最も多い悩みです。原因のほとんどは、利用者の状態に合わない方式・感度を選んでいること。感度と遅延時間を利用者ごとに調整し、必要なら方式を変える。「全員に同じ設定」をやめるだけで大きく減ります。
  2. センサーを避けられる。マットを跨いで歩く、クリップを自分で外す。避けられる可能性がある方には、非接触型や荷重検知型に切り替えます。
  3. 電源の入れ忘れ・機器の設置忘れ。申し送りや点検表に組み込み、確認を業務フローに埋め込むのが確実です。委員会で運用ルールとして決めておくと定着します。
  4. コスト。台数分の初期費用がかかります。補助金・レンタルの活用に加え、全床一律ではなく転倒リスクの高い方から段階導入する方法もあります。
  5. プライバシーへの配慮。とくにカメラを使う方式では、目的の説明と同意、映像の管理方法を事前に決めておく必要があります。

なお、誤報と訪室負担の問題については、より詳しい対処法を別記事で扱う予定です。

約30年にわたり現場で見てきた「選定でつまずく3つのパターン」

モニタリング

ここからは、メーカーとして数多くの導入現場に立ち会ってきた経験から解説します。機器そのものより、選び方でつまずくケースのほうが圧倒的に多いためです。

パターン1:全利用者に同じセンサーを入れてしまう

導入時にまとめて発注するため、どうしても全床に同一機種を導入しがちです。しかし利用者の動き方は一人ひとり違います。結果、ある方には反応しすぎる一方、別の方には検知が間に合わない、という状態が同時に起きます。

対策はシンプルで、転倒リスクと動き方で3〜4グループに分け、グループごとに方式を変えること。台数の内訳を決めてから発注します。

パターン2:「検知は早いほど良い」と考えてしまう

安全のためにできるだけ早く、という判断は自然ですが、これが結果的に不要な訪室を最も増やす原因です。まだ立ち上がる気配のない体動で鳴り続ければ、職員は次第に通知を軽く扱うようになります。安全装置が形骸化する、最も避けたい流れです。

危険度に応じて検知タイミングを設計する——転倒までの猶予が短い方には早めの検知を設定し、猶予がある方は遅めにする。全体の通知数を意図的に減らすことが、結果的に安全につながります。

パターン3:ナースコール連携を最後に確認する

機種を決めてから「既存のナースコールに繋がらない」と判明し、専用受信機を別途設置することになります。夜勤者が二つの機器を確認しなければならず、現場の負担が増えます。

連携の確認は選定の最初に行ってください。次の章に確認事項をまとめました。

ナースコール・既存設備との連携で確認すること

ナースコール

導入検討の初期段階で、次の4点を押さえておくと後戻りがありません。

  1. 既存ナースコールのメーカーと型式(機種によって接続方式が異なります)
  2. プラグの形状確認(ナースコールの参照図をもとに、形状を照合します)
  3. 同時に鳴らせる台数と、複数のアラームが同時に発生した場合の表示方法
  4. スマートフォンへの通知に対応しているか(巡回中に気づけるか)

主要なナースコールメーカーとの接続については、各メーカーが対応表を用意していることがあります。当社も主要各社との対応表を整備していますので、既存設備の型式をお知らせいただければ接続可否をお答えできます。離床センサーの製品ラインナップと仕様は、製品ページでご覧いただけます。

「鳴ったら必ず訪室」の限界と、次のステップ

離床センター

ここまで種類と選び方を解説してきましたが、最後に、離床センサーという機器が抱えている構造上の限界についてお伝えします。

離床センサーの通知は「動いた」ことしか伝えません。それが危険な動きなのか、寝返りを打っただけなのか、通知だけでは判断できません。だから職員は、鳴るたびに居室へ向かうことになります。

この「鳴ったら必ず訪室する」という前提は、業界でも離床センサー運用の注意点として広く共有されています。安全のためには正しい運用です。ただ、夜勤職員2名で40名に対応する体制でそれを続けると、結果的に不要だった訪室が確実に積み上がります。

解決の方向は「置き換え」ではなく「組み合わせ」

ここで誤解のないようにお伝えしたいのですが、離床センサーが不要になるという話ではありません。私たち自身、離床センサーをつくり続けているメーカーです。

変えられるのは、通知を受けたあとの一手です。通知が来たらまず映像で状況を確認し、必要な場合だけ訪室する。この一手が入るだけで、結果的に不要だった訪室を減らせます。当社の見守りシステム「eライブ」は、この「訪室前に見る」を前提に設計しています。

実際の運用例:離床センサーと組み合わせた2段階見守り

老人保健施設はね様では、転倒リスクが高い方・動きが速い方・入所直後の方に対して、2段階の見守りを組んでいます。

まず、eライブのベッドセンサーが「起き上がり」を検知します。続いて、床に設置した離床センサーが「立ち上がり」に反応します。両方が鳴った時点で危険度が高いと判断し、優先して訪室する——という設計です。

この運用の優れている点は、複数の利用者から同時にアラームが鳴った際、訪室の優先順位を判断できることです。離床センサーを併用している方はまだ猶予があると分かるため、別の利用者を優先して訪室する判断ができます。限られた人数で夜勤を回すうえで、これは大きな違いです。

離床センサーは、こうした二段構えのなかで今も中心的な役割を担っています。各施設の詳しい取り組みは導入事例でご覧いただけます。

なお、見守り機器は生産性向上推進体制加算の対象となる機器の一つでもあります。加算の要件と効果測定の実務については、別記事「生産性向上推進体制加算とは?」で解説しています。

よくある質問(FAQ)

Q. 離床センサーとコールマット(センサーマット)は何が違いますか?

コールマットは離床センサーの一種です。床に敷いて踏まれたことを検知するタイプを指し、離床センサーはベッドセンサーや超音波・赤外線センサーなども含む総称です。

Q. 既存のナースコールに接続できますか?

多くの場合接続できますが、ナースコールのメーカー・型式・プラグの形状によって必要な部品が変わります。選定の初期段階で型式をご確認ください。既存設備の情報をお知らせいただければ、接続可否をお答えできます。

Q. 体動が激しい利用者に向いているのはどれですか?

寝返りで鳴りやすいベッドセンサーを高感度に設定して使用するのは避け、サイドセンサーやコールマットなど、実際に離床動作に移ってから反応する方式が向いています。感度・遅延時間を調整できる製品であれば、ベッドセンサーでも設定次第で対応できます。

Q. 誤報が多いのですが、どうすればいいですか?

まず利用者ごとに感度と遅延時間を見直してください。それでも改善しない場合は、その方に合っていない方式である可能性が高いため、検知タイミングの異なる方式への変更を検討します。

Q. 導入に補助金は使えますか?

介護テクノロジー導入支援事業など、自治体の補助制度の対象になる場合があります。公募時期・補助率・上限額は地域ごとに異なるため、早めの確認をおすすめします。

Q. レンタルはできますか?

製品や販売店によってはレンタルに対応している場合があります。試してから判断したい場合は、デモ機の貸出を利用する方法もあります。

まとめ:選定は「いつ知りたいか」から始める

離床センサーは、大きく8種類に分けられます。選び方は、①いつ知りたいか ②その方はどう動くか ③どこに通知するか ④予算と導入形態、の4つの質問に答えれば絞り込めます。そしてすべての利用者に同じ設定を適用しないこと、検知は早ければ良いわけではないこと、ナースコール連携は最初に確認すること——この3点を押さえておけば、導入後に「鳴りすぎて誰も反応しない」状態は避けられます。

そのうえで、通知を受けたあとの動き方まで見直すと、夜勤者の負担をさらに軽減できます。

テクノスジャパンは1997年に離床センサーを発売して以来、累計60万台以上を医療・介護の現場に届けてきました。離床センサー単体のご相談から、映像確認まで含めた見守り体制の設計、補助金申請のサポートまで対応しています。

製品ラインナップと仕様は、製品ページに掲載しています。見守りシステム「eライブ」の資料は、資料ダウンロードページから無料でお受け取りいただけます。既存設備との接続可否や機器構成については、無料相談からお問い合わせください。

参考資料

この記事の運営者

この記事は、株式会社テクノスジャパン(1993年設立・兵庫県姫路市)が運営しています。1997年に離床センサーを発売し、累計60万台以上の見守り機器を介護・医療の現場に届けてきました。高齢者見守りシステム「eライブ」の開発・製造・販売と、補助金申請から導入・運用までの一貫サポートを行っています。

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