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介護施設に見守りカメラは設置できる?プライバシーへの配慮と運用ルールを見守り機器メーカーが解説

見守りカメラ

※本記事は2026年9月時点の情報にもとづいています。条例・補助制度は自治体により異なるため、導入前に最新情報をご確認ください。

「居室内にカメラを設置しても大丈夫でしょうか」——見守りシステムのご相談で、実際に最も多く寄せられる質問です。

先に結論からお伝えします。適切な手続きと運用を行えば、介護施設に見守りカメラを設置することは可能です。ただし、導入方法や運用を誤ると、利用者やご家族、そして職員の信頼を失います。分かれ目になるのは機材の性能ではなく、目的の説明・同意・場所・映像管理という4つの観点に基づく運用設計です。

そしてもう一つ、検討の初期で整理しておきたいことがあります。「カメラで見守る」のか、「センサーで検知して、必要なときだけカメラで確認する」のか。同じ”見守りカメラ”という言葉でも、この二つは設計思想がまったく違います。

この記事では、約30年にわたり離床センサーを開発してきた見守り機器メーカーとして、カメラ導入の法的な考え方から、プライバシーへの配慮の実務、そして「監視」と思われない運用設計までを、導入施設の実例を交えて解説します。

 

介護施設に見守りカメラは設置できる?

介護施設

介護施設への見守りカメラの設置は、法令やガイドラインを踏まえ、適切な手続きと管理を行うことが前提となります。実際、厚生労働省の老人保健健康増進等事業として実施されたカメラタイプの見守り機器に関する実態調査でも、都道府県の介護ロボット導入支援事業を活用して見守り機器を導入した施設のうち31.9%がカメラタイプを導入しています。

守るべきルールは「個人情報」の扱い

カメラで特定の個人を識別できる映像を撮影・記録する場合、その映像は個人情報に該当します。設置者には、利用目的を定めてその範囲内で使うこと、カメラの存在が分かるようにすること(隠し撮りをしないこと)、映像データを安全に管理することが求められます。個人情報保護委員会も、よくある質問Q1-13や「カメラと個人情報保護法 民間事業者向けハンドブック」で、カメラ設置時の留意点としてこの考え方を示しています。医療・介護の事業者については、厚生労働省の「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」もあわせて確認してください。

加えて、一部の自治体には施設内カメラの設置・運用に関する独自の条例やガイドラインがあります。この点は記事の後半で詳しく解説します。

【重要】「カメラで見守る機器」と「センサーで検知してカメラで確認する機器」は別もの

検討の入口で、ここを分けておくと選定がぶれません。

「見守りカメラ」と呼ばれる機器は、大きく2つに分かれます。

タイプ 検知のしかた カメラの役割
カメラタイプ 映像そのものから動作を判定する 検知の主役。常時、映像を解析する
センサータイプ+カメラ ベッドセンサー等が体動・離床を検知する 通知を受けた職員が、そのときだけ状況を確認する

当社の見守りシステム「eライブ」は、後者です。検知を担うのはデジタルベッドセンサーをはじめとするセンサーで、カメラは「通知が来たときに状況を確かめる」ための手段として組み合わせています。映像を常時見張る仕組みではありません。

この違いは、プライバシーへの配慮の設計に直結します。詳しくは記事の後半「選び方:カメラ単体で選ばない」で解説します。

問われるのは「設置してよいか」ではなく「どう運用するか」

法律はカメラの設置そのものを一律に禁じてはいません。問われるのは、何のために設置し、誰がいつ映像を見て、データをどう管理するかです。以下では、この運用設計について具体的に解説します。

 

「監視カメラ」と「見守りカメラ」は何が違うのか

見守りカメラ

検索では「監視カメラ 介護施設」と調べる方も多くいます。ただ、介護現場に導入すべきものは、防犯目的の監視カメラとは目的も使い方も異なります。

項目 監視カメラ(防犯目的) 見守りカメラ(ケア目的)
目的 侵入・盗難などの抑止と証拠確保 転倒・離床の早期発見と訪室判断
見るタイミング 常時録画・事後確認が中心 通知が来たときに状況を確認
見る人 管理者・警備担当 ケアにあたる職員
録画の扱い 長期保存が基本 利用目的に照らして必要最小限の期間
利用者への説明 掲示が中心 本人・ご家族への説明と同意が前提

これは単なる呼び方の違いではなく、運用の設計そのものの違いです。「常に見られている」のか、「必要なときだけ確認してもらえる」のか。利用者・ご家族・職員の受け止めがまったく変わります。現場の職員にとっても「監視されている」という感覚は働きにくさに直結するため、利用目的をケアに限定し、その内容を文書化することが導入の出発点になります。

見守りカメラ導入で施設はどう変わるか【公的調査+実測値】

見守りカメラ導入

効果は、業界全体の調査と個別施設の実測の両方で確認されています。

厚生労働省の老人保健健康増進等事業として実施された実態調査(介護ロボット導入支援事業で見守り機器を導入した全国2,872施設に配布、998施設が回答/回収率34.7%)では、カメラタイプの見守り機器を導入した大きな効果として、居室で発生した事故の検証を挙げた施設が5割強、転倒・転落の防止を挙げた施設が4割となっています。

なお、この調査でいう「カメラタイプ」は、映像を主体に見守りを行う機器を指します。当社のeライブは、センサーが検知し、通知を受けた職員が映像で確認する構成のため、この分類には含まれません。以下でご紹介するのは、その構成での実測値です。

老人保健施設はね様(82床)では、通知が鳴るたびに駆けつけるのではなく、まずカメラで確認して必要な訪室だけに絞る運用に変えたことで、夜間の訪室回数が1日平均26回から10.8回に減りました。介護老人保健施設楽陽園様(100床)では、施設全体で転倒・転落事故が0件となる月も生まれました(過去に一度もなかった水準です)。

もうひとつ、公的な調査では表に出にくい効果があります。利用者の睡眠です。結果的に不要だった訪室が減るということは、職員の負担が軽減されるだけでなく、利用者が夜間に目を覚ます機会を減らせるということでもあります。カメラは職員のためだけでなく、利用者の生活の質のための機器でもある——この視点は、ご家族に導入目的を説明するうえでも重要な視点です。

さらに録画機能は、万が一の事故の際に「何が起きたか」を映像で確認し、ご家族に経緯を説明する材料になります。老人ケアセンター緑ヶ丘様では、この「見返せる安心」が現場を変えたと語られています。導入施設の詳しい経緯は導入事例でご覧いただけます。

 

プライバシーへの配慮の4原則【実務】

介護施設

ここからが本題です。カメラ導入の成否を分ける4つの原則を、実務の順番で解説します。

原則1:目的を明確にして、文書で説明する

「何のために設置し、誰が、いつ映像を見るのか」を文書化します。説明書・同意書に入れるべき項目は次のとおりです。

  1. 設置の目的(転倒・離床の早期発見と訪室判断のため、など具体的に)
  2. 設置場所と撮影範囲
  3. 映像を確認する条件(通知があったときのみ、など)
  4. 録画の保存期間と消去の仕組み
  5. 映像を閲覧できる職員の範囲
  6. 外部提供の有無と、原則として外部提供しない方針
  7. 同意の撤回・変更の手続きと窓口

当社では、この項目を網羅した同意書のテンプレートをご用意しています。資料ダウンロードページからお受け取りいただけます。

原則2:同意の取り方——本人による意思確認が難しい場合も丁寧に

本人とご家族の双方から同意を得るのが基本です。本人による意思確認が難しい場合は、ご家族への説明に加えて、ケア会議・サービス担当者会議での合意形成を記録に残します。同意書への署名・押印を得ることがゴールではなく、「この施設は説明してくれる」という信頼関係を築く過程だと考えてください。入所時の重要事項説明に組み込むのが、抜け漏れのない運用です。

原則3:設置場所——居室は「目的次第」、浴室・トイレは避ける

ご質問の多い居室内への設置は、転倒・離床の見守りという明確な目的と本人・ご家族の同意があれば、設置を検討できます。一方、浴室・トイレなど身体の露出を伴う場所への設置は避けるべきです。どうしても見守りが必要な場所には、映像を使わないセンサー(コールマット・超音波センサー等)で代替する設計が現実的です。カメラとセンサーを適材適所で組み合わせられることが、カメラ単体では得にくい、見守りシステムの利点です。

原則4:映像データの管理——「外に出るか」「残りすぎないか」

プライバシーに関する問題の多くは、撮影そのものではなくデータの扱いで起こります。確認すべき点は二つあります。

1点目は、映像が施設外へ送信・保存されるかどうか。クラウド型は映像を外部サーバーに送って保存するため遠隔閲覧に便利な半面、外部への送信・保存そのものがご家族への説明事項になります。オンプレ型(施設内保存)は映像が施設の外に出ません。当社のeライブは外部ネットワークに依存しないオンプレ型で、この点を導入の決め手に挙げる施設が少なくありません。自治体や法人の情報管理方針が厳しい場合にも対応しやすい構成です。

項目 クラウド型 オンプレ型(eライブ)
映像の保存場所 外部のサーバー 施設内
外部への映像送信 あり なし
遠隔地からの閲覧 しやすい 施設内運用が基本
説明・同意のポイント 外部保存の説明が必要 「外に出ない」ことを説明できる

2点目は、映像を必要以上に長期間保存しないこと。保存期間は、事故検証などの利用目的に照らして必要最小限に設定します。保存期間を短く保つこと自体が、プライバシーへの配慮であり、ご家族への説明のしやすさにもつながります。

なお、介護事業所における情報の安全管理については、厚生労働省の「介護事業所における情報安全管理の手引き(解説書)」が、機器・データの管理体制を整理する際の参考になります。

閲覧権限の設計も重要です。介護老人福祉施設サンヒルズ広島様では、現場スタッフは「アラーム停止と映像確認まで」、リーダーは「通知設定の変更まで」、録画映像の確認やカメラの付け替えは役職者のみとし、操作権限を3段階に分けています。誰でも操作できるシンプルな機器だからこそ、あえて権限を分けて責任の所在を明確にする。委員会で運用ルールを決める際の、参考にしやすい運用事例です。

 

一部の自治体にはカメラ設置の規制がある【メーカーの実務知見】

書類を見ながらの会話

あまり知られていませんが、一部の自治体には、施設内カメラの設置や映像の取り扱いについて独自の規制・指導方針があります。

当社の見守りシステムはカメラ付きの構成が約7割ですが、残り3割の施設がカメラなしを選ぶ理由は、予算に加え、自治体独自の規制や指導方針も理由の一つです。地域によっては、居室内カメラの設置に慎重な指導が行われるケースがあります。

規制のある地域でも、見守りを諦める必要はありません。実務では次の二段階が現実的です。

  1. まず離床センサーなど映像を使わない構成で開始する
  2. 運用実績と施設内のルール整備が進んだ段階で、自治体と相談のうえカメラの追加を検討する

eライブはセンサーのみの構成から始めて後からカメラを追加できるため、このような段階的な構成変更に対応できます。導入前には、指定権者・自治体の担当課に「施設内カメラの設置に関する条例・指導方針の有無」「補助金の対象範囲」の2点を確認しておくと、導入後の手戻りを防げます。地域ごとの事情は、無料相談でもお答えしています。

選び方:カメラ単体で選ばない

見守りカメラ

見守りカメラを検討するとき、カメラの画質やAI機能の比較から入ると本質を見失います。先に決めるべきは「いつ映像を見るのか」という運用です。

「常時監視しない」設計が、最大のプライバシーへの配慮

当社が推奨するのは、センサーによる検知 → 職員への通知 → カメラによる状況確認、という順番です。ベッドセンサーが起き上がりや離床を最速0.5秒で検知し、通知を受けた職員がそのときだけ映像を確認する。映像を確認するのは、原則として通知を受けたときに限られます。職員が常時モニターを確認し続ける必要はありません。

「常に見られている」状態を仕組みとして作らないこと。これが、同意書の整備以前に検討すべき、最も本質的なプライバシーへの配慮だと私たちは考えています。冒頭で整理した「カメラタイプ」と「センサータイプ+カメラ」の違いは、まさにこの設計の違いです。

機能のチェックリスト

そのうえで、機器を比較する際は次の点を確認してください。

  • 夜間の映像確認(暗視)に対応しているか——夜間見守りが導入目的の中心になるため必須
  • 録画期間を利用目的に応じて設定できるか——必要最小限に抑えられるか
  • センサー検知・通知と連動しているか——通知を起点にした運用を組めるか
  • 閲覧権限を職種ごとに分けられるか——責任の所在を明確にできるか
  • 誰でも使える操作性——夜勤を担う職員が使いこなせなければ、十分な効果を得られません

なお、見守り機器・インカム・介護記録ソフトの3種類のテクノロジーは、生産性向上推進体制加算の対象となる機器でもあります。加算の要件と効果測定の実務は別記事「生産性向上推進体制加算とは?」で詳しく解説しています。

導入費用と補助金

見守りカメラを含む見守り機器は、介護テクノロジー導入支援事業(旧・介護ロボット補助金)など、都道府県の補助制度の対象になる場合があります。公募時期・補助率・上限額は自治体ごとに異なり、公募期間が1か月程度しかない地域もあるため、機器選定と並行して情報を追っておくことが重要です。

施設所在地で利用できる補助金は、郵便番号から調べられるeライブ補助金活用ナビで確認できます。47都道府県の実施状況を随時更新し、申請書テンプレートも無料でダウンロードいただけます。

運用の実例:カメラが「もう一人のスタッフ」になるまで

見守りモニター

最後に、プライバシーに配慮しながらカメラを使いこなしている施設の実例を紹介します。

介護老人保健施設楽陽園様は、「絶対に抑制はしない」という方針の施設です。転倒リスクの高い方を居室から離れた場所で見守るしかなかった状況を、センサーとカメラの導入によって改善し、利用者を本来の居室に戻すことができました。録画映像は職員教育にも使われています。事故につながりかけた場面を映像で振り返り、「あのとき、どう動けばよかったか」を具体的に検討する。映像を振り返る仕組みが、職員自身のケアを見直す機会として機能しているのは、導入目的が「ケアの質の向上」として共有されているからです。

老人ケアセンター緑ヶ丘様では、「見返せる安心」が合言葉になっています。事故やヒヤリハットの正確な検証ができること、ご家族に事実を映像で説明できること。カメラは「監視の道具」ではなく「説明責任を果たす道具」として機能しています。

楽陽園様では、eライブを「もう一人のスタッフ」と呼んでいます。カメラがその呼び名に値する存在になるかどうかは、機器の性能ではなく、ここまで述べてきた運用の設計にかかっています。

よくある質問(FAQ)

Q. 介護施設のカメラ設置は違法になりませんか?

一律に違法となるものではありません。ただし映像は個人情報に該当するため、利用目的の明確化、本人・ご家族への説明と同意、映像データの安全管理が必要です(個人情報保護委員会のカメラに関するQ&Aも参考になります)。一部の自治体には独自の条例・指導方針があるため、導入前に自治体への確認をおすすめします。

Q. 「カメラタイプ」と「センサータイプ+カメラ」はどちらを選べばいいですか?

目的によります。映像だけで完結させたい場合はカメラタイプ、プライバシーへの配慮を優先し「必要なときだけ映像を見る」運用にしたい場合はセンサータイプ+カメラが向いています。当社のeライブは後者の考え方で設計しています。センサーのみの構成から始めて、あとからカメラを追加することもできます。

Q. 居室の中にカメラを設置してもいいですか?

転倒・離床の見守りという明確な目的と、本人・ご家族の同意があれば、設置を検討できます。撮影範囲・録画期間・閲覧権限を文書で説明することが前提です。浴室・トイレなど身体の露出を伴う場所は避け、映像を使わないセンサーで代替してください。

Q. 本人による意思確認が難しい場合、どのように同意を得ればよいですか?

ご家族への説明・同意に加えて、ケア会議やサービス担当者会議での合意形成を記録に残す方法が実務的です。入所時の重要事項説明にカメラの説明を組み込むと、抜け漏れがありません。

Q. 職員から「監視されているようで嫌だ」と言われませんか?

導入目的の共有で大きく変わります。録画の閲覧を役職者に限定し、映像の用途を「事故の検証と振り返り」に絞って文書化することで、職員監視への利用を防ぐ運用につながります。導入施設では、事故時に「自分のケアを映像で説明できる」ことが職員を守る材料にもなっています。

Q. 浴室やトイレにも設置できますか?

推奨しません。身体の露出を伴う場所はカメラではなく、コールマットや超音波・赤外線センサーなど映像を使わない機器で見守る構成にしてください。カメラとセンサーの組み合わせはご相談いただけます。

まとめ:カメラ導入の成否は「運用設計」で決まる

介護施設への見守りカメラの設置は、適切な手続きと運用を前提とすれば可能であり、効果は公的調査でも確認されています。必要なのは、①目的の文書化と説明、②本人・ご家族の同意、③設置場所の選定、④映像データの管理——の4原則。そして「カメラで見張る」のではなく「センサーが検知し、通知が来たときだけ映像で確認する」という運用設計そのものが、最大のプライバシーへの配慮になります。

テクノスジャパンは、約30年にわたり離床センサーを手がけ、見守り機器を累計60万台以上届けてきたメーカーとして、自治体規制の確認から同意書の整備、センサーとカメラの構成設計まで、導入前の段階からご相談を承っています。

説明・同意書のテンプレートを含む製品資料は、資料ダウンロードページから無料でお受け取りいただけます。個別のご相談は、無料相談からお問い合わせください。

参考資料

この記事の運営者

この記事は、株式会社テクノスジャパン(1993年設立・兵庫県姫路市)が運営しています。1997年に離床センサーを発売し、累計60万台以上の見守り機器を介護・医療の現場に届けてきました。高齢者見守りシステム「eライブ」の開発・製造・販売と、補助金申請から導入・運用までの一貫サポートを行っています。

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