『やってみなわからん!』-私の体験-

No.21 第6章 事業向き製品開発

投稿日:2010/11/29 投稿者:大西秀憲
前号では「製品の性格」について書いた。
ここでは、製品を単発で終わらせることなく、「品揃え」をすべきだ!と云うことについて書く。

華々しく「1つの製品」をデビューさせて一躍社会の注目を集める会社がある。
その後、どうなっているかと云えば「鳴かず飛ばず」か、もう止めてしまっている会社が実に多くある。
なぜだろうか?
理由は簡単である。
1つの製品の成功に酔い、次の製品、次の次の製品、次・・次・・次、を用意していなかったからである。

私もこのことに気がつくのに時間がかかった。
  ・・・実は「花火」を見て気が付いたのである。
いくら大きな玉でも1発上げてから次の玉までに時間が長ければ、花火が面白くない。
花火は「連発」してこそ見事で、綺麗で、面白いのである。
  ・・・しかも、花火の連発には「ストーリー」があり、やみ雲に打ち上げているのではない。
ベンチャーや小・零細企業の「自社製品」も全く同じである。
  ・・・連発とストーリーが必要なのである。

例えば、知らない所をドライブ中に食事場所を探す場合、人は「荒野に一軒だけのレストラン」には入らない!
  ・・・それは、安心して喰えないからである。
つまり、信用できないのである。
人は、多数のレストランが集合している場所に行って、その中から選ぶのである。
そして多数のメニューがあるレストランが好まれる。
  ・・・レストラン側は、注文があるかどうか?分からないメニューの材料を持つことは大変なリスクである。
しかし、その努力をしないレストランに人は入らない。
「製品」も同じである。
  ・・・製品は「品揃え」が必要なのである。

「友が友を呼ぶ」と云う言葉がある。
  ・・・信頼する友人は、その又友人を伴って集い、次々と多くの信頼できる友人群が形成される意である。
私は製品も同じことだと思う。
いくら優秀でも、只一つの製品では、顧客に関心を持ってもらうことが出来ない。
主要製品の売上高「ABC分析」では、HもKも必要なのである。
  ・・・売上は少なく、業績に寄与していないと思い勝ちだが、実は寄与しているのである。
HやKがABCの顧客を連れてくる! 要するに友が友を呼ぶのである。
顧客は、「主要ABC製品」以外に「D~Zまで多くの製品(友)」があることで、安心して購入をするのだと思う。

「波及効果」と云う言葉がある。
私は、これは製品構成で大変重要だと思っている。
例えば20種類の製品があったとする。
  ・・・通常、良く売れるのは、この内の数種類である。
ところが面白いもので、良く売れる製品の販売数が伸びると、余り売れなかった製品も売れるようになる。
つまり、全体が「上方にシフト(つまりボトムアップ)」するのである。
これは「メイン製品」による「波及効果」である。
  ・・・製品は「つられて売れる」のである。

私は当初から製品の品揃えに拘り、多くの種類の製品をメニューとして用意した。
以前書いたが、私の大先輩友人で「展示会の師匠」である、K鉄工所の小林社長が居る。
10年以上も前のことである。
まだ全然売れていないのに、せっせと製品の種類を増やしている私に、ある日小林社長が言ったことがある。
  おまはん! 本妻の「子供一人」も満足に育てんといて、次々「愛人に子供を生ませて」どないするつもりや!
それは、正に私の事を思っての、ありがたい諫言であった。
しかし私は、そこでは敢えて反論しなかった・・・
  ・・・やがて小林社長に分かる時が来る。 (私には確固たる「品揃え」の信念があった)
久しく聞いていないが「小林社長」は、やはり以前と同じ手厳しい「愛・諫言」を、おっしゃるだろうか?
私は、誰が何と云おうと、製品は多くの品揃えをすべきであると思っている。

話の筋がずれるが、私は迷った時にいつも見るバイブルがある。
これを紹介して第6章を終える。

『 社長のための「売り物を磨く戦略」 』より抜粋(出典失念)  ・・・ 抜粋・編集 大西秀憲

◎ 次々に当たるものを創るための感性
    なぜ売れるか? ・・・これは計算できない領域である!
      そして、創るのも「のめり込んで磨かなければ」とても売り物にはならない。
    社長の「感性」が鈍であれば、当たる物は創れない。

◎「顧客に仕掛け、自分が創りたい物を作り、自分が売りたい人に、売りたい値段で売る」
   自分が創った物には、自分で値札を付ける! ・・・これが本来の姿である。
  
  革命・革新的な物は、いつでも売る側が創っていくものである!
  こういう感性を磨くためには、物事に感動する心をいつでも持つことである。
     ・・・感動は、行動の起爆剤である!

◎社長の感性で「ひらめき」、「何かにとりつかれたように」創り、そして「懸命に」売らなければ売れる訳がない! 
       ・・・売るのにはモノを創る3倍のエネルギーが要る!
  人が成功した方法をマネしても絶対に売れない! 個々の製品には性格があるからだ!
  地面を這いずり、もがき苦しんで、夢にうなされても未だ売れない!
  人に任せたり、人に頼るのは愚の骨頂!  ・・・最初、売るのは社長の仕事である!
     ・・・以上が嫌で、出来ないなら、最初から「自社製品開発」など止めておく方が良い。

私はこれをいつも手元において、困った時に見ている。

以下7章は次号。

モノづくりの原点…それは「人と社会を結ぶ応用技術」

応用技術で暮らしを支えるモノづくりを。
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