『やってみなわからん!』-私の体験-

No.29 第10章 ゴーイングコンサーン

投稿日:2011/07/25 投稿者:大西秀憲
やってみなわからん総括

1.事業の3本柱
自分が熱い思いで創業した会社も、社員が増えてくると「私の勝手でしょ」と云う訳にはいかない。
時には「家族よりも社員の方が可愛く思える」ようになる。
たぶん、これは経営者に共通した思いなのではないだろうか?・・・不思議なものである。
精神的にも肉体的にも社長は社員の何十倍も働いていると思う。
(例えば、寝ている時も、休みの日も、絶えず頭は動かしているのである)
・・・社員から見れば「社長は何をしているのだろう?」と思うかもしれないが・・・
一体、何を考えているのだろうか?
それは唯一つ「会社が順調に続いていくこと」を考えているのである。・・・経営者は皆同じだと思う。

今儲かっている事業でも必ず寿命がある。
(繁栄していても、いつかは衰退していくのが世の常であり、「栄枯盛衰」は歴史が語る事実である)
従って、今「飯が喰えている事業」は、実はもうダメなのである。
会社を継続させたいなら「次の事業」を考えて準備しなければならない、それが社長の仕事である。
・・・このようなことは誰でも充分に分かっていることだ。
しかし、実際の世の中は「次の事業」が出せずに衰退消滅していく企業が実に多いのは事実である。
そうなるのが嫌だから、自分では一所懸命考えているつもりである。

私は「事業の3本柱」を用意したいと、当初から考えてきた。
異なる3つの事業を創出して育てておくことが、私の最大の務めである。
つまり「レール」を敷いておきたいのである。・・・この「レールを敷くこと」が誰でもできないのだが・・・
(そこに、どんな電車を、どんなダイヤで走らせるか?は、次の人が考えることだと思っている)
この意味で、会社のハードウエアである「営業拠点」は全ての事業のベースとなる。
平成23年7月に全国の拠点(札幌・仙台・東京・名古屋・大阪・福岡)が完成したが、今後これが大きな力となる。

天下の大企業には、溢るる優秀なスタッフと潤沢な資本がある。
そこには、10年、20年先の「次の事業」を研究・企画・計画して着々と準備する「組織」が必ずある。
・・・毎日毎日、今を考えずに「将来だけを考えるブレーン」が、あまた居るのである。
小・零細企業には「それが全くない」と云うより置けないのだ!
従って、「次世代」を誰が考えるかと云えば、社長しかないのである。

私は、弊社のホームページの中でも書いているように、事業のキーワードを「老・農・環・心」の4つとしている。
(これが将来を見据えたものか?また、適合したものか?それは全く分からない)
・・・とにかく、一度決めたものを「軸」として「今と将来」を考えないと、思考が進まない。
だから「事業の3本柱」はこの軸で考えることになる。
そこに弊社の「コアコンピタンス」である「コンピュータ技術とエレクトロニクス技術」で彩る・・・これ以外にない!
(とにかくノウハウが無い専門外の分野には「絶対に色気を出さない」ことである)
・・・小・零細企業は「高度に専門化してこそ存在価値があり、だから生き残れる」と云うのは真理である。

2.継続と模索
「変らないために、変らねばならない」と云われる。 ・・・恐竜はこの対応失敗で絶滅したとの説もある。
企業人なら誰でも願うことであるが、それは「ずっと変らずに繁栄が続くこと」つまり継続である。
なぜ継続が重要かと云えば、それは社員のためである。
(アメリカのベンチャー企業のように、企業が成長したら「よい値でタタキ売る」まねは、日本人にはできない)

普通に凡々としていたら企業の継続は無理である。
常に変っていくことによって、(変らぬ)継続ができるものだと思っている。
その方法を「いつも模索」しているのである。
時には、異質のビジネスを考えたりすることもある。
しかし、その度に基本に戻り「それはTJでやるべきことか?」と自問自答している。
ビジネスの「ネタと、きっかけ」はどこにあるか分からない。
従って、基本をしっかりと見据えていることは絶対に重要だが、「明日のための模索」もまた重要である。
私は、本業に与えるダメージが小であれば「模索」は許されると考えている。
・・・模索=新分野研究&投資、と言い換えてよい。
従って、本業の継続と(将来への)模索は平行して進めねばならない。

3.多段式ロケット
能力がある経営者は1段式ロケットであり、一発点火で10トン以上の衛星を宇宙(上場企業)に運ぶことができる。
しかし、普通の経営者は、それは無理である。
私は「多段式ロケット」を想定している。
ロケットの目的は明確で「衛星を大気圏外の空間に運ぶ」ものである。

日本が誇る「HⅡB」ロケットは全長約57m、径約5mで燃料満タン総重量が1,000トンに近い巨大さである。
このロケットは2段式で、最終的に「約19トンの衛星などを」地球周回軌道に運ぶことができるのである。
ロケット総重量と衛星との重量比は98対2であり、衛星だけを考えると投入資源の98%は宇宙とは無縁だ!
しかし、一見この壮大なムダがないと、宇宙空間に物は運べないのである。
HⅡBが1段式でもだめである。

多段式ロケットと経営も同様だと常々思っている。
従って、私自身は「ロケットの1段目」である。
次の2段目のロケットに点火すれば、更に上空に飛び出す。
最終的に宇宙空間に達する(世界のオンリーワンになること)には、更に3段目、4段目のロケットが必要だ!
世の中には、もの凄い能力を持った経営者がいる。・・・その数100万人に一人。
しかし、普通の人間は、多段式ロケットのように「継投で伍する」しかないのではないか?

人を羨むことなく、着実に自分の道を、ひたすら黙々と、歩むのが王道と思う。

         「なまけず、あせらず、あきらめず」



第10章 完 

モノづくりの原点…それは「人と社会を結ぶ応用技術」

応用技術で暮らしを支えるモノづくりを。
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