
No.41 ベンチャー企業育成・大合唱のまちがい
投稿日:2003/07/31
いわゆるベンチャー企業育成について書く。
ベンチャー企業を育成しようと多くの施策が用意されている。
これらの記事が新聞に載らない日はないだろう。
従来の企業業績が芳しくないから、これから期待するのはベンチャー企業だ!いう訳である。
そこで実に多くのメニューが用意されている。
インキュベーション施設、研究開発助成金・補助金、投資、支援組織、などなど。
とにかく、「官」がベンチャー育成をしようとしているのだ。
これは、とんでもない間違いであると思う。
そもそも、育成したベンチャーが、金を稼ぐようになる確率の低さ!を考えたことがあるのか?
もっと言えば、なぜ?ベンチャーなのだろうか?
なぜ?中小企業・零細企業育成では、だめなのだろうか?
ベンチャー企業は「ばくち」のようなものである。
大きく育つのは千に1つか、万に1つである。
つまり、一握りは「鳴かず飛ばず」で終わり、ほとんどは「消えて無くなる」のである。
このことを、支援する行政側は知っているのだろうか?
(誰でもマイクロソフトのビルゲイツになると思っているのでは?)
消えて無くなる物のために「税」を投入するのは間違いである。
そもそも、金を投入したらベンチャー企業が育つと思っていたらお笑いである。
むしろ本当のベンチャーは「独立心」から始まる。
「人の金」(税金)だから湯水の如く金をばらまくことができるのであろう。
私は全く逆だと思っている。
恵まれた環境(金・設備・建物)は災いすると思う。
優れたベンチャーはハングリーから出るのではないだろうか?
私は、ベンチャー企業のインキュベーション施設を何箇所も見学したことがある。
それは「快適である!」・「恵まれている!」、そして『 空疎! 』である!
どこを見ても、話しても、「温室のもやし」を連想した。
そんな立派な建屋でスタートしなくても、倉庫かガレージでも充分である。
そのほうが成功するのではないか?
アメリカの経済はベンチャー企業で大きく変貌したことは誰もが認める。
日本の行政はこの成功だけを見て、アメリカモデルを、導入しようとしている。
これは必ず失敗する!
なぜなら、社会風土が違う。 文化が違う。
アメリカには、割り切った「投資家」(エンゼル)がいる。
この投資家がベンチャーを育てたのである。(日本には、割り切った投資家が居ない。)
・・・失敗したら金返せ!と言う投資家ではベンチャーは育たない。
なぜ皆が口を揃えて、ベンチャー、ベンチャーと言うのであろうか?
私には全く理解できない。
『中小企業』と呼ぶより、『ベンチャー企業』と呼ぶ方が耳障りが良いからではないのか?
ベンチャー企業と呼ぶには、それに相応しい内容が必要である!
弊社のことをベンチャー企業と言う人がいる。
残念ながら、私は「バクチ」をするつもりはないから、ベンチャーとは思っていない!
また、ローテクを売り物にしていて、ベンチャーと言うのは実におかしい。
なんでも、かんでも「ベンチャー」と呼んだらよいのではない。
もし、官がベンチャー企業に対して支援をするなら「税」ですればよい。
つまり、法人税・県民税・事業税・市民税を一定期間「タダ」にするのである。
この措置は創業時において実にありがたい。
それ以外は、知らぬ顔をして、見てみぬふりをして、放っておく。
本当に力のある(経営能力のある)ベンチャーなら、それでも育つ!
ベンチャー企業が成功するカギは総合的な「経営能力」である。
ベンチャー企業は「技術」だと思っている。
全てを決するのは経営能力である!!
そして、その経営能力は誰も教えることができない!
まして、国や県が出来る訳が無い。(そもそも彼らは経営をしたことがない)
だから官が笛と太鼓でベンチャー企業育成を叫んでも、頓挫するのである!!