『風の見える朝』

No.98 メルヘンの国・日本

投稿日:2008/07/15 投稿者:大西秀憲
「メルヘンの世界」と呼ばれる夢のような世界がある。
もちろん現実には存在しない、夢の(お伽の)国の話である。
それは、幼児向けの絵本やアニメに出てくる。
たぶん皆さんもいくつかはご存知であろう。
そこに登場するメルヘンの世界に悪い人は居ない。 みんな優しい!
そしてなにより主人公の生活環境が素晴らしい!
例えば、そこで描かれているメルヘンの世界を覗いてみよう。

瀟洒な家に住んで、素敵な服を着て、立派な建物の学校に行く。
最新の車に乗せてもらって、洒落たレストランに行き美味しい料理を食べる。
おいしいおやつを好きなだけ食べ、最新のエアコンの中で最新の電子ゲームをする。
ピカピカのキッチンの大型冷蔵庫には食べ物・飲み物が満載だ。
リビングには43インチの大型液晶テレビと最新DVDが備わっている。
幼稚園児の部屋には最新パソコンがあり、自分用の携帯電話も当然の如くある。
風呂にはテレビが当然のようにあり、トイレも全自動である。
近づくと、便座のフタが上がり、座ると快適温度! 終わると快適温水で自動洗滌。
そして温風乾燥で仕上げ! 正に快適・清潔そのものである。

時速300Kmで走る高速鉄道を「正確無比」に運行し、縦横無尽に地下鉄を走らせる。
それらは、時刻通り到着して時刻通り出発する。
多くの街に、近代的なショッピングモールに最新のファッションを溢れさせる。
深夜近くでも子供や若い女性が安全に「街」をたむろする。
イタリア・フランスの超一流ブランドを何の拘りも無く「子供や若い女性」が持つ!
街の随所にコンビニがあり、100m歩かなくても「自販機」がある。
どの飲食店に入ってもまず「無料」で水を出し、そして全く安全に飲める。
更に、駅の構内でも飲料水の設備があり、しかも無料である。

新しく開発された街には快適な空間とくつろぎのスペースが多く配置されている。
誰でも、そこの施設の一つであるホテルには自由に出入りできる。
云うまでも無くトイレも無料である。
自動洗浄・乾燥の最新モデルが設置され、手を差し出すだけでお湯が出る。
出口には手の自動乾燥機まで備えてある。
このような快適な空間を老若男女・人種を問わず、誰でも利用できるのだ!
しかも無料で! これ信じられますか?
  ・・・中国の観光地では悪臭を放ち、仕切りも無い厠でも有料である。

新しいコンセプトの街は実に便利で綺麗である。
第一、ゴミがほとんど落ちていない。
犬の糞も見かけない。
  ・・・フランスの観光街を見よ!糞だらけで下を見ていないと歩けない。
「痰や青洟」も道では見かけない。
  ・・・中国を見よ! 痰と青洟が多く、下を見ていないと歩けない。
どの店にフラリと入って値段を聞いても、決して吹っかけない。
老若男女・人種を問わず、誰でも同じ値段で応えるのだ!
そして贋物の商品は全く置いていない。
  ・・・アジアを見よ! 2倍3倍吹っかけるのはザラで、しかもコピーである。
店の応対も親切・丁寧・そして必ず笑顔の挨拶がある。
  ・・・海外の店員の傲慢・無愛想を見よ!
飲食物の賞味時間(期限より厳しい)が過ぎれば、怖いものが来たようにして捨てる。
  ・・・アジアを見よ! 道端のカンカン照りと埃だらけのジュースが飲めるか?
以上の街は特別区で「公安警察」が仕切っているのではない!
都会の、ごく普通にある街の風景である。

電車・地下鉄・バスなどの交通は携帯電話で乗り降りできる。
コンビニの買い物、自販機の飲み物、レストランの支払いも携帯電話でできる。
携帯電話のデジタル地図による道案内。
買い物や飛行機・鉄道の予約、これらも全て携帯電話でできる。
つまり、携帯電話が1台あれば現金が全く不要なのだ!
こんな夢のような便利さが現実にある。

もう気が付かれたと思うが、以上は今の日本の姿でありメルヘンの世界ではないのだ。
世界中の人々にとっては、正にメルヘンである。
しかし、我々日本人にとっては「あたりまえ」の見慣れた、世界である。
・・・誰ひとり、今の日本がメルヘンだとは思っていない。
もっともっと世界には素晴らしい! 快適なメルヘンの国があると思っている。
断言するが、日本以外でこの様な国は無い。
よその国から見れば、まるで「おとぎ話」に出るような国である。

全てがメルヘン(バーチャル)だから、大人の揉め事には全く無関心であるのが特長だ。
世界の出来事や情勢には目をつぶり、いわば「仲間に」加わっていない。
世界の国から「何を云われても」、反論一つせず、米搗きバッタのようにペコペコする。
領海を侵犯されようが、領土(島)を占領されようが、文句一つ云わない。
領海・領土占領は世界の常識なら、即「戦争」である。
ところが「近隣を刺激する」と云う理由で、知らん顔を通している。
大使館を襲撃されようが、領事館を壊されようが、国旗を焼かれようが、知らん顔だ。
食糧に「毒」を入れられても、ウヤムヤにして、挙句「日本が悪い」ように云われる。
それでも何も云わず、いつものように「極楽トンボ」でニコニコしている。
要するに「大人の世界」ではない世界に日本は住んでいる。
だから「お伽の国」である!

悲しいことは、当の日本人だけが、メルヘンだと思っていないことである。
従って、このような国の状態が永く続く訳がない。

モノづくりの原点…それは「人と社会を結ぶ応用技術」

応用技術で暮らしを支えるモノづくりを。
応用技術で暮らしを支えるモノづくりを。
応用技術で暮らしを支えるモノづくりを。
応用技術で暮らしを支えるモノづくりを。