『風の見える朝』

No.97 命は地球より重いか?

投稿日:2008/06/06 投稿者:大西秀憲
日本では「人命は地球より重い」と云う。 それは本当だろうか?
そして全世界で共通の認識なのだろうか?
どうもそれは、日本だけで通用する「お題目」のような気がしてならない。
日本以外の多くの世界では、今この瞬間も「殺し合い」をしている。
それは「内戦」であったり「民族紛争」であり、「侵略」による戦争も多い。
また、独裁者による「粛清」や「政治犯」と云う名の「殺戮」も多い。
これらの事実はニュースで多く発信されているから、その気になれば知ることが容易である。
不思議なのは、あれだけ「人権」に熱心な日本のメディアがほとんど報道しないことだ。
例えば「CNN]を見れば、世界各地で起こっている紛争の詳細が分かる。
また、インターネット検索ではもっと詳細な紛争実態を「ただで」知ることができる。
つまり、(日本以外の)世界では絶えず戦いによって多くの人が死んでいるのである!
日本では、これらの事実について(知っているのに)知らないふりをしているのだ。
そして、平和ボケと戦後(エセ)民主主義によって、世界から「現実鎖国」をしている。

「人命は地球より重い」と云う言葉を聞いたのは「日本赤軍ダッカ事件」の時である。
それは「日本政府の発表」として、日本国民に発信された。
時の首相は「福田」であった。
「すっとぼけた」ような顔をして「人命は地球より重い」と云ったのである。
この瞬間、日本は世界の笑いものになり、政治的に一人前の国として扱われなくなった!
ハイジャックされた飛行機の乗客と引き換えに「犯罪者」を釈放した。
更に、信じられないことだが手土産に「20億円」ぐらいの現金を持たせたのである。
この「金」がテロリストの資金源となり、更に次のテロを生んだのである。
乗客に犠牲を出すことは忍び難いことである、しかし世界では命より重要なものがある。
だから「人質事件」の時は、多少の犠牲は覚悟の上で、強行突入して犯人を射殺するのだ。
これに対して、それらの国民は決して政府を責めない。
もし日本で事件解決に多くの犠牲を出したら「政権」はつぶれるだろう。

「人命は地球より重い」と主張する人々に矛盾したことが多くある。
例えば「交通事故死」である。
少なくなったとは云え、7~8000人が毎年亡くなっている。
但し、この数字は事故後24時間以内に亡くなった人の数であり、その後の数は把握不可だ。
また、「救急医療」の発達によって「生かされていて死なない」例が多い。
従って、交通事故が原因で1年以内に亡くなる人の数は、多分1万人は軽く超えるだろう。
この亡くなる人に対して「地球より重たい」と叫ぶ人権団体の声を聞かない。
また、日本国内では約36,000人が「自殺」で亡くなっている。
・・・これは毎日約100人が亡くなると云う凄い数字である!
この事実に対して「地球より重い」という声を聞いたことがない!
政府も「声明」を出さないし、メディアも進歩的文化人も人権団体もだんまりだ。
なぜだろうか? 人が死ぬことに代わりはない。
それは「人命は地球より重い」と云うことが「嘘」だからである。
従って、嘘を使い分けているに過ぎないのである。
もっとズバリ云えば、日本人が日本国内で「人権ごっこ」をしているに過ぎない!

また、世界で起きている実態をどう見たらよいのか?
最近では、中米ニカラグアの内戦で人口の10%が亡くなっている。
アフガニスタンの紛争、そしてイラク戦争、ご存知の通りである。
イラクでは米兵だけでも7000人が死んでいる。イラク人の死者はもっと凄まじい!
中国では各地で起こる暴動で鎮圧粛清される人命は凄まじい。
少し前になるがソマリアでの民族間虐殺では、数十万人が殺された。
見方を変えると、USAでは1年間に約10,000人以上が「銃」で殺されているのだ。
そしてもっと凄い数字をご存知だろうか!
今、世界では「約4秒に1人」が「飢え」で亡くなっているのである。
人間として生まれた以上、同じ人である。
これらの国の指導者は「人命は地球より重い」と云っているのだろうか?
違うのだ!全く別のことを云っている指導者がいる、「国のために死ね」と。
そうでないと、自爆でイラク人は死なない!
また、アメリカ人はイラクに行って死なない!

云うまでもなく「戦争」をしてはいけない。また、戦争が好きな者もいない。
しかし、現実には人類史上、戦争が無くなった時代はない。
これからも、文明が如何に進もうと、機械が如何に発達しようと、戦争は無くならない。
それより、これからの世界は極めて深刻な問題が二つある。
一つは「民族紛争」である。
・・・世界の火薬庫と呼ばれる地域が何箇所もある。
もう一つは「食糧紛争」である。
地球の温暖化による農地の消滅(水没)と、それによる食糧危機、そして人口爆発である。
世界の人口は今66億5千万人であるが、今後凄まじい勢いで増加する。
人間が増えて、農地が減る。つまり食糧が乏しくなる。
おそらく、豊かな土地と食糧を巡って、あちこちで紛争や戦争が起きると思う。
当然、日本も他人ごとではない。
その時になって「人命は地球より重い」などと、のたまう「首相」がまた居るのだろうか?
あれは表向き・建前の話で、本当は「こうです」と云える指導者が必要だ。

1億2,700万人が幼稚園児みたいに、綺麗な「言葉ごっこ」をしていては国の明日はない!
そろそろ我々日本人も現実に眼を向けて、しっかり「腹をくくる」時ではないだろうか。
60年間も、世界が羨むばかりのメルヘンの時代を甘受させてもらったのだから!

モノづくりの原点…それは「人と社会を結ぶ応用技術」

応用技術で暮らしを支えるモノづくりを。
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