『風の見える朝』

No.47 覚悟の道路横断と車

投稿日:2003/12/02 投稿者:大西秀憲
道路を渡る(横断する)には覚悟がいる!
何を大げさなと思われるかも知れないが、事実である。
もちろん、高速道路を横断するのではなく、ごく一般道路での話しである。
たぶん気が弱い人なら、いつまでも渡れないのでは?と思う。
そのぐらい、たかが6m程の道路を渡るのが難しい。
ご自分で経験された方なら、その通りだとご理解いただけると思う。
もちろん日本の話しではない、アジアの話しである。

車は走る方向が一応決まっているだけで、その他は全くの無秩序である。
珍しく、横断歩道が書いてあったとしても、それは絵空ごとである。
例えば、横断歩道を渡ろうとしても、絶対に車は止まらない!
それどころか、余計にスピードを上げて走り去るようにさえ見える。
追い越し、割り込み、急停車、急なUターン、ゼロに近い車間距離、そして
警笛の乱用、等々。たぶん普通の日本人なら運転はできないだろう!
この一見無秩序に見える「喧騒」をアジア的と言うらしい。
車、荷車、むき出しエンジンの車もどき、オートバイ、自転車これらが
渾然一体となって動きひしめく様は、確かにエネルギーを感じる。
これを称してアジアのパワーとか活力と言うが、要するに「無茶苦茶」である。
例えば中国を見てください。

おれが、わしが、わいが、この位自己主張の激しい人達もいないだろう。
これが車やバイクの運転に「もろに」現われている。
周囲の状況を見て、一歩譲る、一寸待つ、と云う事がどうもできないらしい。
こういう車やバイクが洪水のように流れてくるから怖い。
全くスピードを緩めずに走ってくる車を見て横断する勇気は失せる。
もし当たったら、痛いのはこちらだから・・・・
運良く片側を渡ったとしても、もう一方を渡らねばならない。(たかが6m)
道の真中で長い時間待つことが珍しくないが、この間も恐怖である。
とにかく、絶対に止まってくれないのだから・・・
(信号もあまりあてにはならない)
ところが不思議なもので、2~3日すれば平気で渡れるようになる。
要するにうまく交わしながらスイスイと渡るのだ。
この経験は、たぶん多くの日本人がしていると思う。
以上は何も中国だけの話しではない、アジアの多くの国が同じである!

以上と正反対の国が「アジア」に1つある。
言うまでも無く、それは「日本」である。
日本の道路を「覚悟」をして渡る人は無いだろう!
たぶん、そんなに危険を感じずに横断していると思う。
それは、車が止まってくれるからであり、止まらないまでもスピードを落とし
てくれるからである。
また、車同士でも、状況をみて割り込みを誘導したり、右折を優先させたり
して、譲り合いのマナーを暗黙の内に作っている。
そして滅多にクラクションを鳴らすことはないので「喧騒」がない。
「人に譲って」自分は一歩引く、この精神は「高邁」である。

日本人は自己主張が下手であり、議論が下手であり、プレゼンが苦手だ。
しかし、何も恥じることはない。
このくらい、崇高な精神とマナーは世界に誇れるものであり、範となりうる。
車の運転1つを見ても、日本は素晴らしい文化を創ったものだと思う。
・・・車を例に挙げたが、自己主張(自己中心)とあつかましさと破廉恥。
これに比ぶれば日本人の、謙譲の精神、謙虚と集団の調和、恥を知る精神、
これらがいかに立派か!
少し忘れかけている人もいるが、日本人は誇りをもってこれらを大切にしな
ければならないと思う。

たかが車の例であるが、そこに民族性が良く現われている。

モノづくりの原点…それは「人と社会を結ぶ応用技術」

応用技術で暮らしを支えるモノづくりを。
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