『風の見える朝』

No.57 蜂と台風

投稿日:2004/08/31 投稿者:大西秀憲
今年も大変暑い日が続いている。
体温を越す温度が連日続くのはやはり温暖化が原因かも知れない。
特に大都市では温度の異常が顕著である。
エアコンからの噴出し、ビルの照り返し、アスファルトの焼けこみ、等々。
そして、「雨の強制排出」。
田舎なら降った雨は田んぼや畑や地面の土に染込み、気化熱の作用で気温を下げる。
大都市ではこれが非常に少ない。
雨は天然の冷却器である。
それに加えて、日本の夏は蒸し暑さが特徴である。
とにかく、湿度が非常に高い。
(湿度が低ければ気温が日本より高くても大変しのぎやすい)

さて、このような蒸し暑い中、休日は相変わらず「樹の剪定」である。
とにかく、家の周りに樹が約100本ほどある。
(3年ほど前に約50本程切って「とんど」で焼いたので少しは減った)
前にも書いたが、この過酷な剪定作業が7月初~9月中まで続くのである。
今年は弊社の盆休みは8月13日~16日までの4日間であった。
この4日間、朝早くから日が暮れるまで休み無く作業をした。
(もちろん昼寝などはしていない)
今年の剪定作業をしていて気がついたことがある!

とにかく『蜂の巣』が樹の高い所には全く無いのだ。
我が家の「樹」の高さは大体が2~3mである。
樹はご存知のように、高い所から下に剪定を進めるのが常識である。
そんな訳で、高い所を剪定するときは「蜂に注意」しなければならない。
夢中で刈り込み作業をしているので、蜂の巣に気がつかない場合が多い。
蜂の巣を傷つけると、蜂は一斉攻撃をかけてくる。
そのような場合は、脚立の上で作業しているので、逃げようがないのだ。
つまり、やりたい放題に刺されるのである。
毎年、これが2~3回はある。

今年の「蜂の巣の特徴は」非常に低い所にあることである。
今年遭遇したのは3回、何れも「ヒイラギ南天」の中である。
ヒイラギ南天は低く刈り込むので、せいぜい高さは50~70cmである。
一箇所は気が付かずに刈り込んだために、数箇所刺されたが、それで済んだ。
次の樹からは注意して探しながら作業を進めたので、すぐ発見できた。
いずれの巣も、風を避けるように巧妙に入りくんだところにあった。
ここで昔からの「言い伝え」を思い出した。

「蜂の巣」が低いときは「台風」がよく来る。(又は台風が大きい)
これは田舎では良く聞かされた言い伝えである。
言い伝えは重要である。(これは生活の知恵である)
今年は春先から日本に来る台風の数が多く、しかも上陸が多い。
近くでいきなり台風に変身したり、真横(西)に走って縦断したりする。
たぶん、これからも台風の上陸は多いと思う。
とにかく、今年の「蜂の巣と台風の関係」は言い伝え通りである。

ところで、蜂は台風が来たから、巣を移動させるのではない。
最初から、何かを感じて低い所に巣を作ったのだ。
子供を育てることだけを考えると、巣は高い所が安全で便利であるはずだ。
にも拘らず、低いところの巣を作るのは蜂の「危機管理」である。
台風の強い風に飛ばされないように、低く入り組んだ場所に巣を作るのだ。
春先から始まる巣造り時に、どのようにして将来の台風を感じるのだろうか?
これは蜂だけが持つ超能力なのだろうか?
それとも、鳥や動物や虫も持つ能力なのだろうか?
いや、ひょっとすると能力などではなく、あたりまえの「生活の知恵」か?

科学技術を駆使して、数日前から台風の到来をキャッチする人間。
台風の到来で、家が流され・飛ばされ、交通が途絶え、新幹線がストップ!
右往左往する人間を見て、「蜂の高笑い」が聞こえるようだ!
  『あんたら、遅れとるナア!』
      『わしら、5ヶ月前から知ってるデェ・・・』

モノづくりの原点…それは「人と社会を結ぶ応用技術」

応用技術で暮らしを支えるモノづくりを。
応用技術で暮らしを支えるモノづくりを。
応用技術で暮らしを支えるモノづくりを。
応用技術で暮らしを支えるモノづくりを。