『やってみなわからん!』-私の体験-

No.10 第3章 開発

投稿日:2009/12/28 投稿者:大西秀憲
前号では突然の手術と貴重な体験について書いた。
ここではMCTOSの試作とプレスリリースについて書く。

平成9年9月にMCTOSの試作品を完成させ、10月にMCTOSの記者発表をした。
(この試作品は、今から思えば実にお粗末な代物だった)
この記者発表の反響は凄まじかった!
発表日に運良く「プレスリリース資料」が共同通信に流れ、そこから世界のメディアに配信されたのである。
そしてAP通信(USA)がビッグニュースとして情報発信した。
これを見たアメリカのTV 3大ネットワークの一つ「CBS]が早速、弊社に取材を申し込んできた。
CBSはすぐにやってきた、そして何と同じ日にAPも映像取材にやってきた。
(CBSの取材が終わる間、何とAPは建屋の外で待っていた!・・・信じられない光景でした)
・・・当時の会社は、16坪程の小さな小さなフロアーだったので、座る場所はおろか立つ所も無かったのである!

CBSのリポーターは映像で見たことがある、長身でいい顔をした「ナイスガイ」だった。
感心したのは、到着すると挨拶もそこそこに、カメラの準備をする間に、すぐ取材の打合せをし、彼は化粧した。
私は、たどたどしい英語で対応したが、「質問の的確さ」には感心した。
(日本のメディアには全然ない、取材の内容であり、日米の質の差を実感した)
彼は、製品体験も全て自分で積極的に行い、誰かにやらせることは無かった。
そして取材が終わってから彼は心に残る言葉を言った。
「アップルも最初は小さなガレージから出発した」
「あなたも将来アップルのようになるだろう!」
「私は信じている」
「成功を祈る!」
これを、190cm近い男前が、私を見ながら「サラッと」言ったのである。
今も、この声がはっきりと耳に残っている。
やる気を奮い立たせる感動の言葉であった。

そしてCBSの映像は「CBSイブニングニュース」として全米に放映された。
またAPの映像も、CNN等を通じて世界に流れた。
・・・姫路の知人が「CNNで大西さんを見てびっくりした」と興奮気味に云ったのを覚えている。
この頃は、国内の新聞・雑誌等が挙って大きな記事を書き、とにかく取材のラッシュであった。

海外のTV局が放映してから、かなり後れて日本のほとんどのTV局が次々に取材を申し込んできた。
中にはひどい局があって、お笑い芸人をリポータにして興味本位で製品を茶化したような放映をした。
・・・開発した製品は重度障害者の方に使ってもらえるように作ったので、お笑い芸人が出るのは耐え難かった。
そこで、何局目かの取材申込時に「まじめに取組んだ放送内容にしてほしい」と注文をつけた。
以後、取材姿勢を聞いてから、取材に応じるようにしたが、それでもアメリカと日本の差を痛感した。
とにかく、アメリカのメディアの取材は「無駄がなく、理路整然として的確」である。
これに対して、日本のTV局の取材は(マニュアルのように)「どこも同じことを聞く」のである。
そして視聴者受けする「面白いように」内容を構成するのである。・・・だからお笑い芸人が出てくる。
もし、同じテーマで日米のメディアが取材コンペをしたら、絶対にアメリカが勝つと思った。


以下、次号。

モノづくりの原点…それは「人と社会を結ぶ応用技術」

応用技術で暮らしを支えるモノづくりを。
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