『風の見える朝』

No.50 会社設立件数について

投稿日:2004/02/16 投稿者:大西秀憲
「アメリカと日本における会社設立件数の違いが話題になることがしばしばある。
要するに年間の会社設立件数の単純比較である。
アメリカは60~70万件であるのに、日本のそれは1/10以下であるという。
だから、日本は少なすぎるので、もっと会社を設立する人を増やそうという事だ。
そこで、国や地方自治体や公的機関それに商工団体が施策として取組んでいる。
曰く、「起業家セミナー」、「創業支援セミナー」、「ベンチャー育成」など。
とにかく、もっともっと多くの人に起業したり、会社を設立してほしいのだ。
従って、大都市・地方都市にかかわらず、多くのセミナーがある。

このように多くの組織・団体が創業支援事業を打ち上げて、効果はどうか?
全然、設立件数は伸びない!
とにかく、笛と太鼓と囃子付きで支援をしても、ダメなのである。
おんぶにダッコにおやつをつけても、ダメなのである。
なぜだろうか?
いろいろと理由があるだろう(例えば国の制度の違いなど・・・)
しかし、私はその本当の理由を知っている。
それを基本的に改革しない限り、今後も急に件数が増えることはない。

最近、私が知っている人(経営者)の会社が倒産した。
事業をしている時は羽振りも良く、ご家族もすこぶる安泰であった。
ところが、いざ倒産となると悲惨なものである。
家も財産も全てを失った上で、莫大な債務が残った。
現在、家族は小さな借家とアパートに分散して、ひっそりと生きている。
しかし、容赦なき取り立てが、常時待っているのだ。
おちおち、手足を伸ばして、寝ておられない!
そして、世間の冷たい視線がある!
とにかく、倒産者に対して、すこぶる冷たいのである。
一言で言えば「人生の落伍者」のように人は見るのだ!
・・・・たかがビジネスで失敗しただけであるのに・・・・

以上の話しからお解りいただけたと思う。
要するに、日本では法人(会社)=個人 なのである。
会社という法人が倒産したのに、個人である社長の財産が無くなる!
更に!家族まで路頭に迷い、不幸のどん底を味あうのだ。
これは、社長(代表取締役)が個人補償をしていることから発生する。
本当は社長が会社に対して個人補償するのは、おかしいことである。
だが、実際には、様々な取引や場面で必ず社長の保証を求められるのだ。
だから、会社が倒産すると、家族まで不幸になる。
ここが間違っている!

以上のことを、人々は見たり聞いたりして良く知っているのだ。
だから、最悪の場面を考えると、自ら「起業=会社設立」はしない!
とにかく、「債務の個人補償」と縁を切らないと、会社設立は急増しない。
アメリカは実に多くの設立件数であるが、倒産や廃業も実に多い。
とにかく、ゲーム感覚のような所があるので、倒産を深刻に考えない。
実にあっけらかんとしている。
「今回は失敗したが、次は成功してみせる!」
この感覚があるから、あまりめげないし、個人補償で自滅することもない。

要するに、社会のありかたが、違うのである。
この違いをそのままにしておいて、ベンチャーが少ない!設立が少ない!と言う。
言う方がおかしい。

そして不思議なことに、設立件数の少なさを嘆く人が、起業した事を聞かない!
自分は公職で身分(収入)が安定しているのに、人に冒険を求めるのはおかしい。
言う人は、先ず自分から、やって見せよ!!

 

モノづくりの原点…それは「人と社会を結ぶ応用技術」

応用技術で暮らしを支えるモノづくりを。
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