『風の見える朝』

No.64 『アメリカのマネーゲーム』に乗るな!

投稿日:2005/02/28 投稿者:大西秀憲
最近のニュースで話題独占はライブドアによる株買占め問題である。
日本放送株を約40%近く買ったのだから、当事者の日本放送は驚いただろう。
当事者にしてみれば、正に寝耳に水で、無用心だったことは否めない。
日本に多くの会社がある中で、日本放送に的を絞ったのには理由がある。
即ち、フジテレビを始めとするグループ会社との株式比率の問題である。
市場を徹底調査して的を絞り、現状を分析すれば「格好の標的」だった。
株式公開会社として、無防備だったことは日本放送もうかつであった。
堀江氏曰く「買占めがイヤなら公開するな!」はけだし名言である!
但し、それはマネーゲームとしての名言である。

それにしても買占めが表面化してからのマスコミの報道はまた物凄い。
連日、どのチャンネルでも「堀江氏」をゲスト出演させて英雄の如く扱っている。
概ね、マスコミは報道姿勢から見ると堀江氏「応援団」のようだ。
やはり、プロ野球参入表明の「鮮烈なデビュー」の余韻であろうか?
Tシャツを着た若い兄ちゃんが「500億円」位は現金を持っているよ!
さりげなく、テレビカメラの前で言ったのだから「皆驚いた」のである。
体制批判するのを生業にする人や若い人達から「ヤンヤの喝采」を受けた。
いきなり現代のヒーロに祭り上げられた。
煽り立てたのは例によってマスコミである!
私は、プロ野球参入問題で「一番得をしたのは堀江氏」だと思っている。
即ち、一円の金も遣うことなく、全国的な知名度を得たのだ。
この熱が収まりかけた時に、絶妙のタイミングで株買占め問題が表面化した。
これには「実に用意周到に練られた」シナリオが存在すると思う。

この意味では堀江氏は実に頭の良い、マスコミ利用と世論操作に長けた人である。
ひょっとすると、若い人達の中には彼に憧れる人がいるかもしれない。
私は、ここが問題だと思う。
彼は「マネーゲーム」をしているに過ぎない。
地道に働くことなく、コツコツ真面目に額に汗することなく、汚れて働くことなく!
単に金を転がすことで莫大な資金を掴む見本が、若い人に悪影響を与える。これが怖い!
なぜなら、前の500億円も、今回の800億円も彼が額に汗して得た金ではない。
前の500億円は1年程の間に約10000倍に分割した「異常な株式分割」である。
ITバブルの時の異常さが、また出てきたのかと思う。
彼が画期的な「ビジネスモデル」を考えるか、素晴らしい新製品で利益を得たなら解る。
IT関連と言うだけで、ほとんど稼ぎの実体がない。
今回の800億円も彼が稼いだ金で仕掛けたのなら、私は何も言わない!
「彼は単なる操り人形」ではないか!と私は思うのである。
人形なら必ず「黒子」がいる。
それが今回表面化したアメリカのファンド「リーマン社」である。

要は、アメリカのファンドが一儲けしようとシナリオを書いて、役者を探した!
そうすると、ピッタリの役者が居た!それが堀江氏だった、だけの話ではないのか?
もし堀江氏が野球騒動で、男を上げていなければ、絶対に声がかからなかったと思う。
私は、アメリカの「マネーゲーム」が実に嫌である。
一言で実体を言うと、アメリカと言う国は「マネーゲーム」の国である。
いわゆる「アメリカンドリーム」と言われる所以である。
人口の僅か5%の人が全体の90%の資産を握っていると言われている。
・・・実はほとんどの人は貧乏なのである(日本と比較して)
マネーゲームは際限が無い! そして騙されたり利用される者がバカだという論理だ。
美味しい!と思えば嵐のように押し寄せ、そして嵐のように去って行く。
あとに残るのは、食い荒らされて、荒廃実体と気持ちが荒んだ善良な人々である。
マネーゲームを仕掛ける人間は後の事は絶対に考えない!
日本のことわざではこれを「あとは野となれ山となれ」という。

アメリカのマネーゲームに乗ってはいけない! 近づいてもいけない!
株式や土地やビルを転がして、金を得るのはまっとうな仕事ではない。
確かに、それは儲かる!  しかし、ただそれだけの話である。
そこから、人々が豊かになったり、文化が熟成されたり、それは絶対にない。
マネーゲームの基本姿勢は「もっと、もっと」である。
その基本姿勢には「留まる所がない」・・・止まったら終わりである。
「もっと、もっと」は日本で忌み嫌われてきたのを多くの日本人は忘れている。
仏教用語で「地獄・餓鬼・畜生」と言うのがある。 ・・・極楽の対比語。
ここで言う、餓鬼とは「腹が異常に膨れた」人間の姿をした蔑視対象である。
餓鬼は腹一杯食べても、まだ食べる!もっともっと、食べたいのである!

餓鬼の姿とアメリカのファンド(投資会社)が、私には重なって見える。
「もっと、もっと、もっと!」そのように叫んでいる!
そのような情けない「餓鬼」に、日本を乱されて、食い物にされてはならない。
情けないのは、日本人で「国際ビジネス」の美辞麗句のもと、手を貸す者がいることだ!
日本人に加担する者がいなければ、ゲームはできない。
厳しい国際競争とグローバルな展開への対応を追求する!と言う。
しかし、それは世界の全てではなく、要するにアメリカの実体と論理と手法だ!
ヨーロッパのビジネスは、地味に、文化を育て、棲み分けして、つつましくある。
それが全て良いとは言わないが、「アメリカよりは、まし」と私は思う。
世界で最も豊かになり、バブルで大火傷をして、それでも蘇った日本。
日本独自の哲学に基づく、経済活動の規範を世界に主張すべき所にきていると思う。
アジアやヨーロッパの国々から尊敬されるような経済活動が日本人なら出来ると思う。

とにかく、人の心を荒廃し、全てを破壊するような「マネーゲム」はすべきでない!!
そして、マネーゲームは日本人には似合わない。

モノづくりの原点…それは「人と社会を結ぶ応用技術」

応用技術で暮らしを支えるモノづくりを。
応用技術で暮らしを支えるモノづくりを。
応用技術で暮らしを支えるモノづくりを。
応用技術で暮らしを支えるモノづくりを。