『風の見える朝』

No.83 広告感覚の麻痺

投稿日:2007/05/07 投稿者:大西秀憲
誰も何も感じないのだろうか?
私は極めて異常だと思っている。
それは「電車の広告」や「駅前の広告看板」や「放送CM」のことである。
いつも、それとはなく見て思っていたのであるが、改めて考えて見た。
先ず、電車の広告。
電車の広告は「貼る場所」が決まっていて、夫々に番号が付いている。
因みに(利用する都営地下鉄車両の)最後の番号は確か45である。
従って、1車両内に45の広告があると云うことになる。
また、JR(京浜東北線)の車両広告の数は67である。
(但し、所謂「中吊り」広告は除外している)
広告の分類をすると次の3種類がほとんどである。・・・時期にもよるが。
1.サラ金
2.英会話
3.大学
その車両に限ってであるが、広告を数えて驚いた!
何と「サラ金」の広告が6~7枚もあるのだ!
いつも見ているから気にならないのかも知れないが、これは極めて異常だと思う。
(もちろん、サラ金は「TVコマーシャル」でも多く流しているが・・・)
世界1、2位を競う世界的な先進国の首都を走る電車内に、この広告はいただけない。
銀行の広告なら良く理解できる。
しかし、何か事件が起きると、取り沙汰されるのが「サラ金」との関係である。
曰く、「多数のサラ金に多額の債務」があり、これを解消するため○○した・・・
このようないわくつきの業者の広告を堂々と貼っているのがおかしい。
これでは「電車および鉄道会社」は事件の共犯と云われても、仕方がない面がある。
鉄道会社は、広告収入さえ確保できれば、何をしても良いのか?
それでは「全く節操」と云うものがない。
云うまでも無く、私鉄・公営を問わず鉄道は「公共交通手段」である。
公共である以上、「節操と品と哲学」が無くてはならぬ!
当然のことだが、一般の金融機関(銀行、信用金庫など)と「サラ金」は全く異なる。
サラ金の貸付金利は異常に高く、従って雪だるま式に「借金」が増えていく。
諸般の事情があり、一般の金融機関からは融資が不可能な人がサラ金を頼る。
従って、異常な高金利でも、取りあえずは「背に腹は代えられない」ので借りる。
駅を降りると「一等場所」にサラ金がある!
どこの駅でもよいから駅前に立って、周囲を見渡してみればよくわかる。
多くの「サラ金看板」が目に入る。
駅前の一等地に多く集中すると「マイナス・イメージ」は払拭され、抵抗感が無くなる。
だから「お気軽に」利用することができる。
また、テレビをみると「可愛い娘」が愛想を振り撒いてサラ金の「名」を連呼する!
借りる側に「安易な気持ち」が芽生えても致し方ない!
要するに、日常的に名前を流すことで「感覚をマヒ」させているのである。
・・・従って、誰でも心の奥では「サラ金」から借りるのは悪いことだ!との気がある。
サラ金と呼ぶのが良いか? 消費者金融と呼ぶのが良いか? あるいは高利貸しか?
何れにせよ銀行の金利とは比較にならない「高金利」での「金貸し業」である。
呼び方をいくら優しくしようが、昔からあった「高利貸し」であることに変わりがない。
昔の「高利貸し」は「ひっそり」と、街の裏通りの目立たない所に存在した。
要するに「金貸し」は、堂々と胸を張ってする「まっとうな仕事」ではなかったのだ。
「質屋」もそうであった。
昔の質屋は表通りには無かった。
質屋に行く人はこっそりと「人目をしのんで」質屋の戸をくぐった。
そして、必ず質屋の旦那と「一対一の面談」をしなければならなかった。
旦那は「目利き」であり、「質草」を鋭い目で瞬時に鑑定し査定したのである。
時には、事情を聞き、借りる人に人情をかけることもあったのである。
現在のサラ金は「金貸しマシーン」である。
「無人○○○」が普通で、誰でも全く顔を会わさずに「借金」ができるのである。
これは、すごいことである!
地球上の「どこの世界に」、借りる人間の顔も見ずに「金を貸す」(人)国があるか!
お金は有史以来「相手の顔を見て」貸すものである。
とにかく、日本ではこのような異常なシステムを作ってしまった。
その代わり、貸した金の回収が「凄まじい」のである! ・・・これは当然だ。
この回収を巡って、事件が起きる。
要するに金が返せないから、追い詰められる。
その結果、苦し紛れに別のサラ金から、借金する。
このようになると、見る見る内に借金は膨れ上がり、脅迫に近い返済督促で地獄となる。
そして苦し紛れに、事件を起こすことになる・・・
放送会社や鉄道会社は、依頼されて広告しているだけだ!と云うだろう。
しかし、「天下の公器」が流すと、それは別の意味を持ってくるのである!
「TVでもやっているから安心」と云う、心の麻痺である。
「何かしら皆が知って、やっているから」これは「常識」で、日常的だ!と云う麻痺。
この、間違った感覚育成と定着に、大きく手を貸しているのが放送会社である。
そして、毎日毎日サラリーマンが無意識に見る「電車広告」の鉄道会社である。
この責任は極めて大きい。
放送会社は事件が起きると「微に入り細に亘って」間断なく一方的な放映をする!
所謂、バラエティ番組では「お気に入りのタレント」を集めて、云いたい放題を流す。
しかも「善人面」をして!
(そんなこと言えるほど、あんたは「公明正大・清廉潔白」なのか!と云いたい)
・・・聞いていて腹の立つ方も多いだろう・・
世の常識も理解していない若い「女子アナ」が、必ず現場からリポートする場面がある。
口の利きかたも解らない口調で「・・・多数のサラ金に多額の借金が・・・」とやる。
この人達は、自分達がしていることを、おかしいと思わないのだろうか?
「サラ金を助長して公認」したのは自分達、放送会社ではないか!
♪♪「初めてのー○○ム」♪♪ と「レジャー感覚」のCM放映をしているのは自分達だ。
そんな人たちに、善人面をして「加害者」を糾弾する資格はない!
放送会社は直ちにサラ金のCMを断るべきである。
「断ったら広告収入が減るので放送が立ち行かない!」と云う声が聞こえてくる。
それなら、日中のあの「下らない」放送を止めればよい。
電車の広告には「サラ金返済」の統合という、凄まじいのもある。
要するに、多くのサラ金に返済できなくなった返済を「一本化」すると云うのである。
多くのサラ金からの凄まじい督促が1箇所からになり、返済も1箇所になると云うのだ!
これもまた考えて見れば凄い話である。
そして何より「サラ金広告と並んで一本化広告がある」と云うのが凄い!
また、サラ金債務の「相談」をする弁護士の広告もある。
広告の内容はずばり、「多重債務の整理」 「借金の整理」 「債務の相談」である。
驚くのは「サラ金広告と並んで、弁護士広告」があることだ!
これも考えてみれば、サラ金返済の統合以上に凄い!
♪♪「皆さん、お気軽に金借りて頂戴ヨー」、返済に困ったら「統合」して上げるヨー
もっと困ったら、♪♪「お気軽に弁護士が相談にのるヨー」と言っている。
この一連の流れが「同じ車両の中に」広告として、実在するのである!
・・・全て入れると10枚に近い数の広告である。
凄いことだと思いませんか?
言っておきますが、こんな広告を堂々と公共交通機関でするのは「日本だけ」だ!
テレビ・コマーシャルも全くおなじである。
「黒い猫でも白い猫でも、ネズミを捕る猫は良い猫である」は中国の話である。
日本の経済や企業活動に、これを持ち込むのは間違いである。
・・・「なんでもあり」を持ち込むと「秩序と品」が無くなる!
鉄道会社も放送会社も「公共性・社会秩序」そして「品」を考えるべきである。
夢のある広告、日本が誇るべき技術や製品、各地の「日本の美」などを掲げるべきだ。
鉄道・放送・その他公共性が高いものは「ポリシー」・「哲学」が必要である。
これが無いと「悪を垂れ流す」ことによって「国民の品」が無くなる。
広告に対する「感覚が麻痺」しているとしか、云い様がない!
品が無い国民(国)は世界から尊敬されないし、信頼を失う!

モノづくりの原点…それは「人と社会を結ぶ応用技術」

応用技術で暮らしを支えるモノづくりを。
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