『夢のつれづれに』 - 私の願い -

No.14 廃人製造優良会社

投稿日:2014/05/02 投稿者:大西秀憲

世に「ブラック企業」と呼ばれる会社があることを知っていると思う。
ブラック企業とは、名の如く「反社会的で悪名高く、ダーティな忌むべき企業」との意味である。
ネットで検索すると多くの会社が出てくる。
一見して分かることは、その多くが知名度が高い会社であることだ。
しかも、一般的には「優良企業」と言われている会社である。
なぜ?知名度が高い、優良企業がブラック企業と、裏では呼ばれているのか?
何がブラックなのか?
なぜ?その存在が許されるのか?
ここに日本の現実の不思議さがある。

ブラック企業と呼ばれている企業は、詐欺・脱税・その他の違法な犯罪行為をしているのではない。
正面から見ると、時代にマッチした斬新で大胆で革新的な経営をして、高収益を上げているのである。
そして、各企業共に非常に立派な「経営理念」を掲げている。
また、マスコミ、メディアに登場することも度々である。
つまりは、ネット検索で出てくる「ブラック企業」は現在の日本を代表する、成長著しい会社が多い。
それがなぜ?ブラックなのか?

弊社は、ここ10年で従業員が4倍に増加したが、その多くは「中途採用」で増員した。
この「中途採用のリクルート活動」を通じて、ブラック企業の存在と実態を知ったのである。
最初の頃は全く気にもしなかった。
市場経済の自由競争の中では、ありうることで、むしろ個人的問題だ、とさえ思っていた。
しかし3~4年前から「組織的で根深い問題」であると認識が変わった。
やはり「ブラック企業」は悪いのである。

企業のリクルート活動は独自のものである。
何人採用するか? どのようにして採用するか? どのように育成するか? これらは企業によって異なる。
何が良くて、何が悪いか?他社の経営方針に関わることだから、一概に評価できない。
概して、ブラック企業の多くは「大量に新卒を採用」する。
就職難と言われる時に、新卒を大量に採用することは、社会貢献として良いことである。
私がブラック企業が悪いと思うのは採用後のことである。

私が悪いと思うのは次の点である。
1.大量に採用して、大量に「短期で退職」させ、いわゆる履歴書を汚させる。
2.優秀で偏差値が高く、高学歴な若者を精神的に追い詰め(うつ病にして)将来を閉ざす。
3.向上心を利用して、いたずらに競争心を煽り、その結果、有為な若者を「人生の落伍者」として社会に放出する。
4.表面上は順法、実体は無制限の時間外労働で、その賃金不払い等の労働法違反。
5.立派な経営理念と名声、その真逆の従業員労働実体。
そして、自殺に追い込まれる人も居ると聞く。

概ね、上記の点を捉えて「ブラック企業」と名指しされているのだろう。
ところが不思議なことに、新卒で、しかも偏差値の高い優秀な若者が「ブラック企業に群がる」のである。
彼・彼女達は、なぜ?ブラック企業を選ぶのだろうか?
その答えは「知名度」だと思う。
若者の多くは「仕事の内容」より「会社を選ぶ」傾向が強い。
従って、ブラック企業には努力せずとも、多くの有為の人材が集まるのである。
「レジャーランド的」大学で遊び呆けた若者達は、「ブラック企業」と知り、告発を読んでも「現実」として捉えない。
要するに「ピンと来ない」のではないだろうか?

ブラック企業の多くは創業者が現役で若く、1代で育て上げた歴史の浅い会社である。
日本の土壌では新規起業、創業のベンチャー企業が中々育ち難い。
従って、会社の成長期には「理念や理想、あるべき姿」を追求するだけでは生き残れないのは確かである。
だからと言って、経営理念と経営方針、そして企業文化や社風を、ないがしろにして良い訳がない。
ブラック企業の多くは巨大化しているため、社長の目が隅々まで届かないのではないか?
その結果、「業績重視、利益偏重、生き残るために手段を選ばず」が常態化しているのではないか?
そのような中で、若者が自分を成長させ、人格を磨くことは不可能である。

新卒の若い人、転職で出直しを図る人、共に人生の大半を委ねる会社を選ぶに、全身全霊で当たるべきである。
要するに、人生をかけた仕事をする会社を選ぶのである。
もっと真剣に「自分の仕事」について考えるべきである。
   ・・・中途採用の面接においてブラック企業退職者の話を多く聞いたが、それで若者に忠告するのである。
企業は社会貢献しなければ存在価値がない。
例えば、「本当に人に役立つ製品を世の中に提供すること」が一つである。
もう一つは、その会社で働く社員が幸福を感じ、愛社精神に溢れて、プライド高く仕事をする社風である。
この2つが無ければ立派な会社と言えない。

年間に実に多くの若者と面談をするが、離職者の話を聞くと、会社と言えない会社が多くあることも事実である。
しかし、就職は強制連行ではない、自分が選んだのである!

H,R,W,U,・・・等のブラック企業は一番悪い、しかし、それを選ぶ学生も又悪い!と私は思うのである。

モノづくりの原点…それは「人と社会を結ぶ応用技術」

応用技術で暮らしを支えるモノづくりを。
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