No.20 なぜ勉強するのか?
小学生に「なぜ勉強するのか?」と聞けば、多くの子供は「テストで良い点を取るため」と答える。
では、「テストで良い点を取ると、どうなるのか?」と聞けば、即座に「通信簿の点数が良くなるから」と答える。
そこで、「通信簿が良くなると、どうなるのか?」と聞けば、「良い学校に行ける」との答えがある。
では「良い学校に行ったら、どうなるのか?」と聞けば、「良い会社に入れるから」と言う。
・・・もちろん、「良い会社」と言わず「高級公務員」と言っても同じである。
中には、研究者になりたい、エリート官僚になりたい、等々もある。
・・・ここで寂しいのは「職人の親方になる!」や「経営者になる!」などの声が無いことだ。
つまり、なぜ勉強するのか?と言う答えは、「給与生活者(サラリーマン)になるため」が多いのである。
今の教育制度の本質は「国家のエリート」を養成することにある。
・・・国家のエリートとは、政治家、省庁の高級官僚、経済界のエリート、マスコミのエリート、等々
つまり、今の教育制度は「東大」に行くために敷かれたレールである。
それは、国民の誰もに等しく公平に開かれたもので、誰でも東大に行くチャンスはある。
チャンスは等しくあるが、誰でも行けない(入学できない)
・・・「高三までのテストの点数が低すぎる」ため諦めて、自分のレベルに合った学校に行くのである。
(レベルに合った学校とは、必ずしも勉学を意味するものでなく、「レジャーランド的学校」もまた存在する)
従って、世にある多くの学校は、子供の時から勉強して憧れるほどの学校ではないのである。
にも拘らず、多くの子供は高校に行き、そして大学に行く。
その理由は:
◎ 皆んな行くから(中卒、高卒ではイヤだから・・・)
◎ 早く就職するのは嫌だから(もっと遊びたい)
◎ 学歴があると、将来有利だと思うから
◎ 親が行けと言うから
◎ 自分がやりたい仕事が分からない(または、決めていない)から
・・・つまり、社会に出て何をしたら良いか、分からないからである。
このような理由であると思う。
(中には、小学校の時から明確に自分の進路を決めている子供もいる。)・・・とにかく「選択肢が多すぎる」のだ。
極端なようだが、小学校でやりたい仕事が決まっていれば中学校にすら行かなくてよい、と私は思う。
(「昔と今は違う」と言われるのは承知の上)
「世界の発明王エジソン」は小学校すら卒業していない(小学校は約2ヶ月だけ)、松下幸之助は小学校卒。
世界のホンダの「本田宗一郎」も小学校卒。
並みの歴史学者では足元にも及ばない、偉大な推理作家「松本清張」も小学校卒である。
多くの人は、22歳まで16年間も勉強するが、自分の子供に教えられるのは、精々小学校4,5年まで!
(それ以上は普通の親では教えることが不可である)
・・・つまり小学校4,5年の知識があれば、親ができるし、社会生活・社会人ができるのである。
多くの人は、社会に出ると「分数」も使わないし、むろん「三角関数」など無用である。
「幾何」や「微分・積分」などは、異次元の学問となる。
学校の勉強は社会人になる為に必要な学問でなく、上級学校に入学するために必要なテストのためのテクニックである!
従って、社会を構成する多くの職業に就き、仕事をする人にとっては、総花的で実情にそぐわない教育である。
・・・本当の勉強は、社会人になって、その場面で必要になった部分だけに特化して学ぶことである。
(これは、実に良く頭に入るし、身に付く)
一般的に、子供の頃(勉強適齢期のころ)勉強しなかった親ほど、子供にうるさく「勉強しろ」という傾向がある。
・・・自分がしなかったことを子供に求めるのは矛盾すると、分かっていない!
話を2つ書く。
1.昔、大工の棟梁二人に聞いた話:
将来良い大工に叩き上げるには、理想が「小学卒のころ」、譲っても「中学卒者」である。
・・・高卒では年齢が行き過ぎており、無駄な勉強で理屈が多くて「無心・一途・盲目的」に打ち込めない。
まして、「大卒(22歳)では論外である」と、その棟梁は言った!
・・・なぜなら、最も吸収し易く、訓練が身に付く年齢の時を、とっくに過ぎているからだそうだ。
「鉄は熱いうちに打て」と言うが、人間も同じなのである。
2.昔の技能オリンピックの話:
昭和30年代後半から40年代、国内のメーカーは「技能オリンピックのメダル獲得」を競った。
中卒者を多く採用して、見込みがある者を選び「スパルタ式でエリート教育」する、その期間は概ね3、4年。
・・・多くのメダル獲得者は18歳~19歳であった。
高卒者(つまり18歳)を、叩き上げ訓練するのは年齢で無理があったのである。
・・・つまり、15,6歳が最も訓練に適した年齢であった。
ここで過酷で高度な訓練を受けた人が「日本の高度な物作り=メイドインジャパン」と高度経済成長の中心となった。
それにしても、将来を担う子供の声として「社長になりたい!」「経営者になりたい!」が聞こえないのは寂しい。
「勉強してサラリーマンになる」、この声は現実だが、余りにも現実過ぎて「夢が全く無い」と思うのである・・・
「僕は勉強が嫌いだから勉強はしない! しかし、腕の良い職人になる!」
「勉強は苦手だが経営者になって活躍したい!」
と言う子供が多く出る教育が良い!
子供に大きな影響を与えるのは「小学校の先生」である。 従って、小学校の先生の覚醒に期待したい!