『夢のつれづれに』 - 私の願い -

No.25 人生最大の「理不尽」!

投稿日:2015/04/01 投稿者:大西秀憲

私は、今「人生・最大の理不尽」を体験している。・・・ぜひ聞いてほしい!

皆さんは「事業承継」と云う言葉を知っていますか?
私は今、正にこの事に直面しているが、そこで「この理不尽」を全身で感じている。

「事業承継」は、普通のサラリーマンは全く無関係で、一生関わることの無い事柄である。
私も数年前までは「事業承継」など知らず、別世界の話だと思っていた。
ところが、これが人生最大の大問題だと言うことが分かってきた。
文字通り読めば、「行っている事業を引き継いでゆく」という意味であるが、実はもっともっと根深い問題だ。

私が、ここ数年来、勉強した結果得た「事業承継の本質は株」である。
 (誰を後継の社長にするか?というのは、左程難しい問題ではなく、最重要課題は「株の継承」なのだ)
創業オーナー社長は、通常多くの株を持っているのが普通だ。・・・自分で資本金を出したのだから当然。
この多くの株を、どのようにして譲っていくか?これが大問題なのである。
なぜ?問題か?と言えば、「相続税」である。

大問題は、「創業者オーナー」が急に死んだ場合である。
死ぬと、残された遺族(多くの場合、妻と子供)が父親(つまり創業者オーナー)の持ち株を相続することになる。
この時、悲劇が訪れるのだ!
 (その会社の業績が悪く、純資産が少なければ問題はない。 ・・・多くの非上場の株評価は「二束三文」だ)
ところが、会社を創業し、1代で会社を育て、業績が良い会社の株価評価は「驚くほど高い」のだ。
ある定められた評価方法で算出された「株価」で、遺族は相続することになる。
   ・・・この結果、相続税だけで「億円」の額になる。 ・・・めまいがする話である。

創業者オーナーが死んだあと、この額をさっそく「耳を揃えて納付」しなければならない!
代々続く老舗企業ならともかく、1代(精々20年程)の創業者の家族が「金を持っている訳がない」のだ。
納付したくても、不可能なのである。
  ・・・しかし、税務署は待ってくれない
納付できなければ、「自己破産」するしかない。
従って、創業者オーナーの「妻や子供」は「夫・父親」を恨むことになる!
  ・・・仕事、仕事と、家庭や家族を省みず、死んでからも家族を犠牲にして・・・
      ・・・「よくも、よくも、こんな酷い目に、あわせてくれるな!」という恨みである。

ほとんどの創業者は「必死で、満足に喰わず」、家族にも「よい生活をさせず」、夢中で事業に取組んだはずだ。
  ・・・歴史と伝統がある中小企業や一部上場の「サラリーマン社長」とは訳が違う。
やっと事業に見込みがたち、これから「人並みの生活」と言う時に、死ぬと上記のような事が起こるのである。
必ず、夫を、親を、恨むだろう!
場合によっては、家も失い、一家離散にもなりかねない。
  ・・・これが、冗談ではなく、日本の小・零細・ベンチャー企業の創業社長に対する実情である!

人の役に立つ製品を造り、社員を雇用し、多額の納税で社会貢献していても、関係なく降りかかる現実なのだ。

そんなことはない!「多額の生命保険」をかけておけば、死んだら保険金が入り、それで納税できる!と云うだろう。
しかし、「誰でも多額の生命保険に入れない」という事を知っていますか?
   ガンを告知したらダメです!
      心臓病を告知したらダメです!
          脳血管病歴(脳溢血、脳梗塞など)を告知したらダメなのです!
(創業者がこのような病歴を持っている場合も多くあるのです)
 ・・・重い手術をしても、入院すらせずに事業に打ち込み、身体をズタズタにしながらも走り続けて来たのが創業者。
こんな人にこそ必要なのに、多額の生命保険には入れないのです。
  「実に実に・・・悲しいことだと思いませんか?」

国の制度、「相続時精算課税制度(納税猶予制度)」を使えば!と云う人がいるかもしれない。
   ・・・これは中小企業経営者が子供などに生前に株を贈与した場合、納税を待ってもらう制度である。
要するに、社長(父親)が死んだ時に、改めて納税するというもの。
制度としてあるが、これは使えない。
  ・・・なぜなら、父親が「いつ死ぬか?分からない」からである・・・早いかも知れない?
また、一度これを選択すると「暦年贈与」には戻れない欠点がある。

では、制度利用無しで「株承継」を行うにはどうすればよいか? ・・・それは「生前贈与」しかない。
  ・・・一度に多くの贈与は不可能(贈与税が超多額)だから、少しづつ年数をかけて贈与してゆくのである。
当然、贈与すれば「贈与税」がかかる。 ・・・贈与税は、株を受ける子供が払う。

例えば、株の贈与税は次のように計算する。 ・・・1株評価額=¥50万円と仮定する。
・・・毎年20株、10年で合計200株を贈与するものとする。・・・H27年1月~の特例贈与財産用税率適用
     20株×50万円=¥1,000万円=1年の贈与価額
 ◎ 贈与税額=(1,000万円−110万円)×30%−90万円 ≒ 177万円・・・(一人/1年の納税額)
社長(父親、例えば68才~70才)の子供は、通常30代で2~3人。
  ・・・この30代の子供達が、毎年毎年、「180万円」ほどの贈与税を、毎年3月に納税するのである!
これが「約10年近く」続くのだ!
   ・・・30代の子供にとって、これは「地獄の責め苦」である!

皆さんなら、「180万円」平気で払えますか?  生活をしながら・・・  家族を養いながら・・・
   しかも、売ることも出来ない株のために多額の納税をするのだ!

何の因果か?たまたま創業者オーナー社長の子供に生まれたと云うだけで「こんな酷い目」に会う。
このことを、多くの若者・同年代のサラリーマン諸氏に分かってほしい・・・・

 ( そして、創業社長の子供に生まれなかった「幸運」を感じてほしい!!)

「日本には400万の会社があり、そのほとんどは中小企業であり、中小企業なくして日本はない」と政治は云う。
中小企業を育てる! 中小企業に元気をだしてもらう! 中小企業は国の力だ! などと、のたまう!
しかしながら、国・行政や自治体が言っている事と、やっている事は「間逆」である。

事業を発展させず、業績向上も図らず、そして納税もせず! のんきに暮らしている会社の株評価額は二束三文。
   ・・・従って、一度に株を全額承継しても、納税の問題はない。
片や、一生懸命頑張って、知恵の限りを絞って、身を犠牲にしても、業績を伸ばした会社の株承継には「酷い仕打ち」

これが日本の中小企業に対する実体である。
創業者オーナーの代表取締役社長に賞与は無い、給与の額も社員優先!、それで創業以来やってきたはず。
   ・・・当然だが貯金など全く無いだろう。(できるわけが無いのだ)
そして、そろそろ次世代にバトンタッチしようか!と言う段になって、以上のような悪態が現実となる。

多くの新製品を開発したメーカー、新サービスを提供したビジネス、これらを成した創業者を優遇すべきである!
やった者も、やらなかった者も、ほとんど同じ評価では、新しい創業者が出てこない。
 ・・・むしろ、事業を高業績にしたが故に、その子孫に多額の税負担を課すのは、どう考えてもおかしい。
      極端に言えば、高業績を上げたら「処罰するぞ!」と言っているに等しい!!
         そんな「バカなことはないだろう!」と私は思うのである。

上記に対する、創業者オーナーの自己防衛は「驚くほどの高い役員報酬」と「超高額の役員退職金」を得ることだと思う。

企業は「ゴーイングコンサーン」が最重要! 中小企業を「虐めて」潰してはならないのである!

以上が、今私が受けている「人生最大の理不尽」の内幕である。
どう思われますか?みなさん・・・

◎ 本屋に行けば「事業承継」に関する本が沢山あるが、承継の本質は以上に書いた通りである。


今回のコラム、ちょっと力が入ったので長くなったことを謝します。

モノづくりの原点…それは「人と社会を結ぶ応用技術」

応用技術で暮らしを支えるモノづくりを。
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