
No.41 『がんばろう日本!』 とは何だ?
「がんばろう日本!」のキャッチフレーズはよく目にするものである。
云うまでもなく、これは「東北地震」直後から被災地の人々を勇気付けることを目的にしたキャッチフレーズと認識している。
津波被害と原発被害から「めげず」、一日も早い復興に向けて国民が一丸となって努力しよう!との主旨と理解している。
未曾有の大災害が起きた時、数え切れない困難に挫けず、「全国民でがんばろう!」との意味と思っている。
つまり、国難とも云える時に当たり、オール日本、全国民が力を合わせてがんばろう!と云う事と理解していた。
このように思うのは当然の事である。
ところが実際はそうではないらしい。
エゴ丸出しで「醜い争い」を繰り広げた!
例えば①:
災害復興の第一歩は「かたずけ」である。
・・・破壊された不要物を取り除かねば、何も始まらない
当然であるが、取り除いた物は運び出して、どこかで処分しなければならない。
・・・当然、被災地には処分場は無い!
ここで誠に奇妙な事が起きた
それは、地震・津波で破壊された瓦礫や建物の残骸の受け入れを巡る、信じられない争いである。
近隣および全国の自治体が「うちには持ってくるな!」と受け入れを拒否したのである。・・・記憶があるでしょう!
先ずは、かたずけないと「何も始まらない」にもかかわらずである!
反対したのは「仮置き・一時保管」を表明した自治体の住民達である。
要するに「そんなものを持ち込むな!迷惑だ!」と云うことである。
・・・反対運動をニュースで見た記憶があるでしょう!!
このような反対運動で、撤去作業が完全に頓挫したのである。
・・・何と云うことでしょうか? 何と云う矛盾でしょうか!
* 一体「がんばろう日本」とは何なのでしょうか?
例えば②:
津波によって町ごと消えてしまった地域がある。
同じ被害を繰り返さないよう、高台へ地域ごと移転する計画を立てた。
しかし、ここで「各種の法律の規制」が立ちはだかり、スムーズな移転に障害となった。
国有地、国有林、文化財、土地規制、等々があり、一つクリアするにも途方も無い時間を要する問題である。
云うまでもないことだが、これらの法律は「平時」に適用するものである。
国難の時、日本を挙げて取り組む非常時に「平時を持ち込む」愚かさが現実にあった。
・・・こんな時こそ「超法規的措置」をすべきである!
総理が陣頭指揮で「法律を黙らせたら」全てがスムーズに進む。
何しろ、多くの人が一刻も早い「住居」を願っているのだから・・・
そんな事できるのか? と思うかも知れないが、過去に例がある。
連合赤軍によるダッカでの日航機ハイジャック事件を思い出してほしい!
時の総理・福田は「人名は地球より重い!」の迷文句?を発して
「凶悪な事件で服役中の複数の囚人」を釈放したのである。
その根拠は「超法規的措置」である。
憲法も法も、へったくれもない、無茶苦茶な措置であった。
おまけに、多くの囚人の持参金として「20億円」を現金で付けたのである! ・・・当時の20億である!!
現在なら200億円か?
「人質の人命優先の美名」の下に、こんな法を無視したことをやったのである。
これができたのなら、大震災時の臨時的対応として「超法規的措置」が出来ない訳がない!
しがらみの多い複雑怪奇な各種の法を超越して復興に対処したなら、凄いスピードで事が進む!!
・・・なぜ?そうしないのだろうか?
凶悪犯に法外な持参金を持たせて釈放するより、桁違いの意義あることである!!
例えば③:
「風評被害」が起きた。
云うまでもなく、福島原発事故に関してである。
米、野菜、魚、肉、など全てのものが、「出所不明のデマ」に泣かされた。
・・・それらは放射能に汚染されている!との「うわさ話」によって、消費者から拒否されたのである。
農業、漁業、それらの流通、等々で生計を立てている人々にとって、これは死活問題であった!
これは今でも根強く、残っている・・・云われ無き差別である。 ・・・生活すら奪われる
みんな同じ日本人である!
* 一体、何が「がんばろう日本!」だ!
例えば④:
差別は、市井の一般人だけが発信しているのか?と思うと、そうでもなく「大臣」でもやった!
福島を視察した大臣が帰京して会見したときのことである。
まわりの人々に対して「放射能うつすぞ!」と云って、他者を触るまねをしたのである。
立場も、状況も、自分の役割も、更に云えば放射能の本質も、全く分からない無知で愚かで人間失格と云うべき輩である。
こんなお粗末な輩が「大臣」とは、片腹痛い!
* 一体全体、何が「がんばろう日本!」だ!
大災害にめげず取り組むなら、1億2700万人・全国民が一心不乱に同一方向に努力すべきである。
「言葉だけ並べて」、各所に「のぼりを立てて」、それだけで「がんばろう!」はないだろう!!
要するに、総論賛成、各論反対、とエゴのオンパレードだ。
耳障りの良いキャッチコピーであり、実際には何もしない。
被災地・被災者の一日も早い生活基盤構築と地域社会の復興を速やかに実行するのが重要なのである!
がんばろうと云うのなら、国民一人一人が自分の立場で出来ることを最大限に実行することだ。
「がんばろう日本!」、皆さんは、これをどのように捉え、自分の立場で何をしましたか?
(経営者の私の立場で出来る事は納税額を増やして復興に貢献することである)
僭越ですが、国難に当り、震災以来5億円の納税をして、がんばろう!に応えました。
私はこれで、私なりの役割を果たしたと自負しています。・・・もちろん、弊社全社員も同様の自負。
国民皆が夫々の立場(持ち場)で、真摯に汗をかいたなら復興はアッと云う間にできるだろう。
言葉だけで誤魔化して、実際には何もしない(ひどいのは足を引張る)のが居るから、全体が進まないのだ。
そんな訳で「がんばろう日本!」を聞くと、私は気分が悪くなる。